履歴書に“うそ”を書く人は多いのか 海外の学歴詐称を見破りにくい理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
静岡県伊東市長の学歴詐称が話題だが、海外でも大きな問題だ。米国で行われた調査では、7割が履歴書に虚偽の記載をしたことがあると回答。インドでは学歴詐称が広く横行している。海外からの求職者が増える中、経歴を確認できる体制づくりも必要だろう。
世界を読み解くニュース・サロン:
本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
最近、学歴詐称が話題になっている。2025年5月に静岡県伊東市長となった田久保真紀氏が学歴を偽ったとする問題が浮上し、メディアを騒がせた。
田久保市長の経歴は「東洋大学法学部経営法学科卒」となっていたが、実際には大学から除籍されていたことが明らかに。結局、田久保氏は市長を辞職し、改めて市長選挙に立候補することになった。
経歴を詐称する人はメディアでもちょこちょこ取り上げられる。有名なところでは、ショーンKことショーン・マクアードル川上氏がハーバード大学大学院を卒業したとするうその経歴が2016年に明らかになり、テレビ番組を降板するなど大きな騒動になった。
筆者の取材でも、安全保障専門家らの経歴詐称を何件も確認している。中には自分が元スパイ機関諜報員だったとうそをついている人の情報もあった。例えば「私はモサド(イスラエル諜報特務局)のスパイなんです」と言って、投資話を持ちかけられたという相談を受けたこともある。少し調べるとうそだと判明する。このような「元スパイ」手口は意外に多い。
言うまでもないが、経歴詐称が明るみに出れば、一気に信頼を失う。伊東市長の疑惑を受けて、NEWSポストセブンが、市民からの「高卒だっていい、うそつかなきゃいいんだよ」というコメントを報じており、それはまさに的を射た指摘といえるだろう。
経歴詐称は日本特有の現象ではない。世界各地で問題になっている。詐称が明らかになれば表舞台から姿を消し、仕事を一気に失う人もいる。海外からの求職者が増える日本企業にとっても大きな問題だろう。そこで今回は、海外の経歴詐称問題を深掘りしたい。
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