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職人の年収が低い──沖縄の伝統工芸の課題に、社員100人のIT会社はどう挑んだ?(2/5 ページ)
沖縄の伝統工芸の1つ「琉球紅型」は、職人の年収が低いという課題を抱えていた。この課題に、社員100人のIT会社が取り組んだという。
どう解決? okicomの取り組み
職人が持っている型紙や作品の一部をスキャンし、それらを掲載するデジタルプラットフォーム「Bingata Space」を構築。民間企業らがその中にある柄を商品デザインなどに活用したい場合は、柄の使用料を職人に支払う仕組みを作った。
「紅型はとてもリッチな歴史を持っていますが、職人さんはストーリーテラーではないため、なかなか本来の価値を伝えられていません。行政からすると伝統工芸は『守るもの』という認識が強く、職人側も『補助してほしい』というマインドに陥りがちなので、発展が難しい現状があります。企業がお金を払って柄を活用することで、持続可能なビジネスモデルを作りたいと考えました」(小渡氏)
okicomのほか、地元の著名企業、金融機関が会員に名を連ね、それぞれから集めた年会費で活動費を賄っている。年会費は正会員が30万円、準会員が10万円、個人の職人は3万円。取り組みに共感する経営者も多いほか、会員集めでは「okicomが創業45年の歴史を持ち、沖縄経済界とのつながりが深いため、声を掛けやすい環境が功を奏しました」と小渡氏。
柄を使用する企業とのやりとりは全て、okicomの社員である事務局員が担う。商品企画から営業、販売支援まで一貫して行うため、職人はオリジナルの柄を提供するのみ。デザインの価値が適切に評価されれば、職人のやる気の向上にもつながる。新たな収入源を創出し、より自立した工芸産業の姿を目指している。
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