フレッシュネスバーガーはなぜ伸び悩むのか 立ちはだかる「中途半端」の壁(3/4 ページ)
6年ぶりに店舗数を拡大したフレッシュネスバーガー。しかし、ファストフードでもなければグルメバーガーでもない、どこか中途半端な印象だ。そうした状況を打開し店舗数を伸ばすには、どうすべきなのか?
ハンバーガー業界での「ポジショニング」も見えづらい
これは、より本質的な問題にもつながっている。「ハンバーガー業界内でのポジショニング」だ。
フレッシュネスバーガーはファストフードとしては高単価な部類だが、価格が1000円以上のいわゆる「グルメバーガー」に位置付けられるほどではない。グルメバーガーは1990年代に日本で誕生し、複数回のブームを経て、2010年代にその数を大きく増やした。価格が高い一方で、製法や素材などにこだわっており、フレッシュネスバーガーよりも上位に位置付けられる存在だ。
つまり、フレッシュネスバーガーは、安くて気軽に行けるファストフードともいえず、製法や素材にこだわったグルメバーガーでもないような、どっちつかずの状態にあるのだ。
この中途半端さが、フレッシュネスバーガーのオペレーションの問題を際立たせてしまっている。例えば、グルメバーガーであれば、提供にある程度時間がかかっても許されるだろう。顧客は「高単価で良いものをゆっくり食べたい」と考えて店に来ているからだ。
しかし、フレッシュネスバーガーの場合立ち位置がはっきりしていないため、マクドナルドなどと比較されて「ちょっと遅いな」と思われてしまう。また、店内清掃が行き届いていなければ、「ある程度高いのだから、もっときれいであってほしい」と思われてしまうのだ。
いずれにしても、その“微妙な立ち位置”のせいで、フレッシュネスバーガーは選ばれにくい存在になってしまっている。
しかも、同店の誕生は1990年代で、すでにマクドナルドやモスバーガーなどが大きくシェアを広げていた。後発組として誕生しているため、店舗網を広げて「とりあえずフレッシュネスバーガーに行くか」という状態も作りにくい。あらゆる点で「中途半端」になってしまっているのが、フレッシュネスバーガーなのだ。
それに加えて、一定の店舗数を持ち、一般認知度の高いハンバーガーチェーンには、それぞれに明確な「個性」がある。
チェーンの中でも最も早く展開を始め、圧倒的な数を誇るマクドナルドに、「対マクドナルド」の意識を強く持ちながら国内2位の店舗数となるまで規模を拡大したモスバーガー。また、圧倒的な量のインパクトで、日本で再ブレイク中のバーガーキングなど、それぞれの店は業界内での立ち位置が分かりやすい。
それに対して、フレッシュネスバーガーは「モスバーガーっぽい」という、あいまいで消極的な認識にとどまっており、特徴が分かりづらい。
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