月給アップの代わりに、ボーナス半減!? 賞与の給与化で、モチベーションが“ダダ下がり”も……その深刻なデメリット(2/3 ページ)
人手不足の深刻化に伴い、優秀な人材の確保は企業にとってますます重要な課題に。これを受け、多くの企業が「賃上げ」を行っています。このような状況下で、給与体系の見直しの必要性が高まり、具体的な方策の一つとして注目されているのが「賞与の給与化」です。
「月給重視」の傾向が強い日本
会社員の給与形態は主に「年俸制」「月給制」「日給制」「時給制」に分けられます。日本の場合、正社員の大半は月給制(支給額が1カ月単位で決められた給与形態のことで、月当たりの基本給+固定手当で構成される)です。
昨今は物価の上昇で生活費が増加し、その基盤となる月給額に対してますます労働者の目はシビアになっています。外資系を中心に年俸制(1年単位で給与総額の合意・更改を行う給与形態のこと)を導入する企業が増加傾向にあるとはいえ、年収ベースで比較するのはまだ一般的ではないと言えるでしょう。
「賞与の給与化」企業側のメリットとデメリット
あらためて、賞与の給与化とは年に1〜2回支給していたような賞与を廃止・縮小し、その金額を月々の定期給与(基本給や職務給など)に組み込む制度設計を指します。「夏・冬の賞与支給額を減らし、その分を月給ベースに加算する」「成果連動型賞与を廃止し、固定的な給与体系に変更する」などがあります。
賞与の給与化が企業にもたらすメリットは、月給を高くして人材の獲得及び引きとめへのプラスとなることでしょう。具体的には、
- 求人サイトや転職市場で、月額が明確に高いことによって「この会社は報酬面で安心できる」「待遇が良い会社」というブランディングにつながり、応募率の向上を期待できる。特に20代後半〜30代前半の社員に効果的とされる
- 実務経験のある中途人材は、年収全体よりも「月々どれだけ入るか」に注目する傾向がある。生活設計や住宅ローン審査などに関わるため、月給が高いほど転職判断がポジティブに働きやすい
などが挙げられます。
デメリットとしては「賞与のように業績などによる弾力的な運用が難しく、人件費が継続的に増加するので費用捻出の準備が必要である」「年収ベースで変化がなくても、賞与額の大幅な減額は社員のモチベーションを低下させる可能性がある」などが挙げられます。制度を導入する際には、事前に社員への十分な説明を行い、納得してもらうことや数回に分けて徐々に賞与割合を減らしていくなどの対処が求められます。
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