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AIが「正解」を教えてくれるのに あえてチームメンバーの「関係性」に着目すべき理由(1/5 ページ)

皆さんは「チームでの会議が、イマイチうまく進まない」と悩んだことはないでしょうか。関係性を良い方向に育み、チームのパフォーマンスを高める手法として、昨今注目が高まっている「システムコーチング」という考え方と、それがチームの関係性やパフォーマンス向上にどのように貢献するのかをご紹介します。

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 こんにちは。グッドパッチでデザインストラテジスト兼ワークショップデザイナーとして活動している田中拓也です。私は仕事上、さまざまな企業の組織課題を目にしますが、突き詰めると悩むポイント(本質)は似ていることが多く、解決の糸口も共通するものになってきます。そこで「組織デザイン」のポイントを解説していくことにしました。今回はチームの「分かり合えなさ」について取り上げます。

 皆さんは「チームでの会議が、イマイチうまく進まない」と悩んだことはないでしょうか。「もっとうまくコミュニケーションが取れたら」「なぜか議論がかみ合わない」──。1対1で話しているときはそんなことはないのに、チームとして集まると急に会話が少なくなったり、ぎこちなくなったり。

 筆者自身、デザイナーとしてプロジェクトの初期段階やコンセプトを作るときなど、まだ形のないものに対してチームで対話し、共通理解を深めていくプロセスが非常に重要になります。しかし、その過程で意図せずすれ違いが起きたり、関係性がギクシャクしてしまったりすることも少なくありません。

 優秀なメンバーが集まっても、チームとしてうまく機能しないこともある。そのたびにチームのパフォーマンスを最大限に引き出すために、何が必要なのかを模索してきました。その中で気付いたのは、個人のスキルや知識だけでなく、チームメンバー間の「関係性」が大切だということ。

 人間関係、といえば当たり前に聞こえるかもしれませんが、「仲良くしなさいよ」と言って解決するような簡単な話ではありません。今回は、関係性を良い方向に育み、チームのパフォーマンスを高める手法として、昨今注目が高まっている「システムコーチング」という考え方と、それがチームの関係性やパフォーマンス向上にどのように貢献するのかをご紹介したいと思います。

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提供:ゲッティイメージズ

なぜ「関係性」に注目するべきなのか

 「コーチング」という言葉を耳にしたことがある方はいるかと思いますが、「システムコーチング」は知らないという方がほとんどではないでしょうか。一般的なコーチングが1対1の関係で行われ、個人の目標達成や課題解決に焦点を当てるのに対し、システムコーチングが扱う対象は、チームや組織などの「システム」です。

 システムというとITの世界で使われることが多い言葉ですが、もともとは「相互に影響を及ぼし合う要素から構成される、まとまりや仕組みの全体」という意味を持っています。これをチーム(組織)に置き換えると、「単なる人の集まりではなく、メンバー同士の相互作用や関係性を含んだ全て」ということになります。

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システムコーチングとは? (グッドパッチ提供、以下同)

 端的にいえば、「共通の目標に向かって動く、依存関係にある集団」を一つのシステムとして扱うのです。関係性というのは絶えず変わっていくため、進化し続ける生命体を扱うようなイメージでしょうか。システムコーチングはこのシステムに対して、良い方向に導くために、外部の存在である「コーチ」が行うコミュニケーションを指す言葉になります。

 多くのチームでは、より良い成果を出すために、効率的な意思決定やスピード重視の行動が求められます。もちろん、個々の高いパフォーマンスも重要です。しかし、それだけでは「チームで仕事をしている」というよりも、「個人が寄り集まって仕事をしている」状態にとどまり、本来のチームの力が発揮されにくくなる場合があります。

 システムコーチングは、まさにこの「チームの関係性」に光を当てます。関係性が良ければパフォーマンスも高くなる──そう単純に言い切ることはできません。しかし、建設的な対話や、お互いを尊重し合う健全な批判が生まれるには、「質の高い関係性」が必要不可欠だと私は考えています。

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