インタビュー
再生ボタンを押したのは誰か? 昭和のカセット「マクセル」が登場した理由(2/4 ページ)
昭和100年の2025年、カセットテープ「UD-60A」が限定発売され即完売。ストリーミング全盛の時代に、あえて“スキマ”市場に挑んだ電響社の狙いとは──。
「UD-60A」を発売した理由
カセットテープが昔をなつかしむグッズとしてだけではなく、現役の音楽メディアとしても再評価されている。とはいえ、現在はスマホやタブレットによるストリーミング配信が主流だ。
カセットテープに回復の兆しがあるとはいえ、依然としてニッチな市場であることに変わりはない。そんな中、なぜ電響社はオマージュ商品を発売したのか。
「昨今、カセットテープが盛り上がる中、なにか仕掛けができないかと考えた」と、製品企画部の池田克彦さんは経緯を説明する。背景には、今回オマージュしたマクセルブランドが持つ歴史と、電響社の使命感があった。
マクセルブランドのカセットテープは、1966年から60年ほど販売している。電響社は2023年4月からマクセル(東京都港区)とライセンス契約を締結し、同ブランドの製造・販売を担っている。
電響社は「新たに興味を持ち始めた人にも魅力と価値を伝え、カセットテープ文化の一端を担っていく」という方針を掲げている。
こうした考えのもと、選んだのが1970年6月に「ULTRA DYNAMIC(UD)」として発売された名作シリーズだった。マクセルブランドを代表するUDシリーズは音楽専用カセットテープとして登場し、「いい音しか残れない」のキャッチフレーズで高音質ブランドとしての地位を確立。レコードショップでも定番商品となった。
当時の音楽ファンの間では「大切な曲はUDシリーズに録音する」という文化も生まれたという。
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