Oliveに「似てるな……」三井住友幹部が吐露 三菱UFJ「エムット」20%還元の追撃、“メガバン顧客囲い込み戦争”の行方は(2/3 ページ)
三菱UFJが投入した「エムット」は、三井住友Oliveを徹底研究した20%還元設計。店舗戦略、ポイント設計、ブランド方針の違いから、メガバンクの本気度と未来像が透けて見える。
対象店舗選定に表れる戦略の違い
20%還元の看板は同じでも、戦略の本質は対象店舗の選定に表れる。両社ともすべての加盟店での利用に対して還元するのではなく、店舗を絞ることで還元率を高く見せる仕組みを採用している。
Oliveの戦略は日常利用店舗への集中だ。セブン-イレブン、ローソンの2大コンビニを対象とするのは両者共通だが、Oliveはポプラ、ミニストップ、セイコーマートなども対象とする。さらにファミレスやドトールなど、日常の利用頻度の高い店舗に照準を合わせた。顧客の生活動線上に確実に存在する店舗を押さえることで、実質的な還元効果を最大化する狙いがある。
一方、エムットの戦略はスーパーを中心とした展開である。還元率7%の対象店舗は計30ブランドに達し、アオキスーパー、東急ストア、近商ストア、オオゼキ、オーケー、肉のハナマサといったスーパーマーケットに加え、ロッテリア、ゼッテリアなどの飲食店も対象とする。コンビニ中心のOliveに対し、より大きな買い物金額が期待できるスーパーに軸足を置く。
ファミレス、カフェに強いOliveと、スーパーに強いエムット。この対象店舗の違いは、ターゲット層の違いを鮮明に表している。スーパーは地場に密着したものが多く、全国一律で訴求しにくい特徴がある。また特定加盟店での還元は、カード発行元と加盟店の双方が還元原資を負担するものと見られるが、スーパーは薄利多売のため原資の捻出はハードルが高い。
例えば安売りで知られるオーケーストアは、現金会員にだけ3%オフを実施しているが、これがスーパー業界の厳しい収益構造を物語る。その中でスーパーを取りそろえたエムットには、三菱UFJの本気度が感じられる。
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