ビッグマックが1000円超 ウーバーや出前館が地方でなかなか浸透しない理由(2/5 ページ)
フードデリバリーが岐路に立たされている。コロナ禍をピークに、需要が減退したことも大きいが、それ以上にマズい、ある課題が浮かび上がってきた……。
出前館の赤字が示す限界
フードデリバリー業界の限界が見て取れるのが、出前館の決算だ。2025年8月期第3四半期(2024年9月〜2025年5月)の連結売上高は301億円で、前年同期比で約21%減。営業損失は約31億円で、前年同期比で20億円以上縮小しているものの、依然として赤字が続いている。
また、2025年8月期の決算予想では、48億円の赤字となる見通しだ。当初は100万円の黒字を見込んでいただけに、大幅な下方修正となった。
出前館の業績は、この数年で急激に悪化しており、立て直しが求められてきた。決算説明資料を見ると、アクティブユーザー数は2022年から減少し続けており、売上高も減っている。
出前館の業績が低迷しているのは、競合であるウーバーイーツの存在感が強すぎることも影響している。出前館が業績悪化に直面する中、ウーバーイーツは2桁成長を達成しており、業界トップを維持している。
そもそも、自転車やバイクで商品を届けるフードデリバリーが広まったのは、ウーバーイーツが上陸してからだ。出前館は1999年からサービスを提供していたものの、存在感は薄かった。街中を「Uber」と書いた大きなバッグを持って動き回る配達員のインパクトもあり、「フードデリバリーといえばウーバー」という強いイメージが形成された。そうした「先行者利益」を得たウーバーイーツのみが、業績を大きく伸ばしたのである。
実は、同業種のウォルトも今期の決算は赤字で、決して順調とはいえない。「ウーバーの一人勝ち」状態で、業界全体に停滞感が漂っている。
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