のぼり旗がカニやサバに? 文字ではなく、“カタチ”で勝負に出た理由:「次の駅まで」に読めるハナシ(1/2 ページ)
カニのツメやサバが宙を泳ぐ「変形のぼり」が登場しました。昭和感漂うのぼり旗が、SNS時代に合わせて進化中。店先の新たな主役となるでしょうか。
商店街やスーパーの店頭で、風に揺れるのぼり旗。赤や黄色の派手な文字で「本日特売!」「営業中」などと書かれた長方形の布は、どこか昭和の香りがする販促物です。
ところが最近、そののぼり旗が進化を遂げつつあります。カニの爪が突き出し、サバの塩焼きが宙を泳ぐ――。形そのものを商品に合わせた、ちょっとユニークなモノが登場しました。
名前は「変形のぼり・カットビくん(仮)」(以下、変形のぼり)。のぼり旗や横断幕などを手掛けるポップジャパン(広島市)が製作しました。
のぼり旗の歴史は古く、邪馬台国の時代からあったという説があります。起源には諸説あるものの、戦国時代を想像する人も多いかもしれません。武将が自軍を示すために旗を掲げていましたが、現代では「店の存在を知らせるシンボル」として受け継がれています。
しかし、ポップジャパンの担当者によると「ここ数年、のぼり旗の市場は縮小傾向が続いています」とのこと。背景には、商店街や個人飲食店の減少に加え、コロナ禍でイベントが激減したことが影響しています。
加えて、スマートフォンの普及で販促の主役はSNSやWeb広告へ移行しました。通行人の視線を奪うだけでは、集客につながりにくくなっています。
変形のぼりの開発を担当した酒井護博さんは、こう振り返ります。
「のぼり旗は文字に頼る広告でした。でも、広告としての即効性だけでは限界があります。SNSで写真が拡散するような、“話題になるもの”が求められていると感じました」
発想の原点は、街で見かけたフォトスポットや、アイドルショップのディスプレーだったそうです。ファンが写真を撮り、投稿することで店の認知が広がる――その仕組みをのぼり旗に持ち込みたいと考えました。
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