過去最高の売上439億円! 渋谷パルコ、好調でも大改装に踏み切った理由(4/4 ページ)
大規模改装を進めている渋谷PARCOに、外国人観光客がたくさん訪れている。現地を訪れ、改装の狙いと反響を取材した。
ごった返す観光客、お目当ては?
現地を訪れた8月初旬、ファッションフロアでは、デンマーク発のファッションブランド「GANNI(ガニー)」の日本初直営店や、ヨウジヤマモト社(東京都品川区)が手掛ける「S'YTE(サイト)」の世界初となる実店舗、韓国発のフレグランスブランド「TAMBURINS(タンバリンズ)」の旗艦店、渋谷エリア初出店の「CELINE(セリーヌ)」など、新店舗が続々と開業していた。
「カオスカルチャーギーク」と名付けられた5階には、日本独自に発達した文化を集めている。コアファンを取り込みやすそうな「ラジコン」や「カセットテープ」の専門店などが開業。カセットテープ専門店では、若い男性や外国人観光客が立ち止まり、商品を吟味していた。
6階には、冒頭で触れた「THE★JOJO WORLD(ザ ジョジョワールド)」や「SEGA STORE TOKYO(セガストアトーキョー)」のほか、「ゴジラ・ストア Shibuya」なども新たに開業。店頭には目を引く大きなロゴやイラスト、ゴジラの立像などが設置され、「体験型」を押し出した店構えだ。
「6階はフロアに入り切らないほど大盛況です。店によっては、事前予約受付や整理券で入店制限をしています。ここに来るためだけに来日した外国人観光客もいました。商品購入だけでなく体験を目当てに来店されていて、店内で撮影を楽しむ人が多いです」
この日も、若年層や家族連れなど各国からの旅行客がスマホ片手に撮影に夢中になっていた。6階と比較すると5階は落ち着いていたが、想定以上に女性客が多く、堅調な推移を見せているという。
改装は、9月まで続く。現状の課題を尋ねると、「想定以上の混雑によるオペレーションの改善」を挙げた。限定商品発売のタイミングなどに来客が集中し、買い物しにくい状況が発生しているという。個数制限などの転売対策は実施しているが、より体験価値を高める施策を検討しているそうだ。
解体して、再生する。現状に安住せず、進化し続ける。渋谷PARCO好調の背景にあるのは、創業時から続くパルコの精神だ。
著者プロフィール:小林香織
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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