転売ヤーを責めても解決しない 「ポケカ騒動」でマックが直面する本当の課題(2/2 ページ)
ポケモンカード付きハッピーセット騒動で炎上するマクドナルド。転売ヤー批判は的外れで、株価上昇の裏に潜む本当の課題とは何か。経済原則から見た実効的対策を探る。
吉野家はどうやって転売を制した?
マクドナルドと対照的だったのが、吉野家ホールディングスの「星のカービィ」コラボである。2024年に始まった「カービィと吉野家まんぷく大作戦」では、目玉商品である「カービィどんぶり」を、抽選で当たる方法と、同社公式ECサイトで受注生産による購入が可能な方法の二つのルートで提供した。
これにより、予約期間内であれば原則として全ての需要を受け止めることが可能となり、転売業者の利益源である「希少性」を排除する仕組みが実現した。
消費者は待ちさえすれば正規のルートで入手できるため、高額転売に飛びつく必要がなくなった。これに比べ、日本マクドナルドが実施した「お1人様◯セットまで」といった数量制限は、需要に対し供給が不足している局面では本質的な解決策とはいえない。
むしろ希少性を強調し、転売価格を押し上げるリスクがある。本人確認や店舗横断の重複購入防止といった厳格な仕組みがなければ、容易に回避される。結果として現場はオペレーションの負担増で疲弊し、食品ロスやブランド毀損は解消されない。
ワンピース企画を中止した背景には、「同じ土俵で戦えば再燃する」という危機感と、有効な対策を打ち出せていない焦りが透けて見える。
転売には「経済学」で対処せよ
転売は倫理的には問題視されるが、グッズなどを転売すること自体は違法ではない。従って場当たり的な対応や根拠のない呼びかけでは、転売を防ぐことはできない。
転売は経済原則に基づく行動である。ならば対策も経済学的に行うべきだ。マクドナルドが信頼を取り戻すには、実効的な販売制度の再設計が必要だろう。さもなければ「次のハッピーセット」でも混乱を繰り返すだけである。
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