日本のビジネスパーソンの50%以上が「何も学んでいない」 キャリア意識の欠如が引き起こす危機(2/2 ページ)
日本の労働者の半数以上が「学び直しをしていない」と回答。スキルを問われ「分からない」と答える層も突出して多い。キャリア意識の低さが競争力を損なう危機が浮き彫りになった。
キャリア意識の低さが引き起こす負の連鎖
背景には、日本人のキャリア意識の低さがあると指摘されている。インディードリクルートパートナーズが2025年3月に実施した6カ国調査(日本・米・中・英・仏・独のフルタイム就業者対象)によれば、日本は「キャリアについて考えたことはない」と回答した層が34.1%と他国に比べて3倍以上と突出して高く、ビジネスパーソンが自身のキャリアについて考える機会が少ないことがうかがえる。
また「リスキリングで何を学ぶか」の基準として「現在の仕事に役立つ」と答えた日本人は25.6%、「将来のキャリアチェンジに必要」と答えたのは13.0%にとどまった。いずれも他国に比べ低水準である。一方で「分からない」と答えた割合は22.2%と突出して高かった。
特に「キャリアについて考えたことがない」と答えた層では、リスキリングについて「分からない」と回答した割合が41.1%に達し、他の層の3〜4倍にのぼった。自身のキャリアの方向性が見えていないため、学びの目的やメリットをイメージできない実態が浮き彫りとなっている。
また同調査では、キャリア意識の高い人ほど仕事内容への満足度が高く、自分のポテンシャルを発揮できていると感じる傾向も確認された。キャリア意識は学びの姿勢にとどまらず、エンゲージメントや仕事の充実感にも影響している。
Indeedの調査を監修した早稲田大学の大湾秀雄教授は、日本企業におけるタレントマネジメントやリスキリング支援の遅れが、従業員のキャリア意識を低下させている大きな要因だと分析する。日本企業が積極的なリスキリング支援を行うことで、従業員のキャリア意識やリスキリング意欲を大幅に高める効果があるとして「危機感を持つべき」と訴えた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
なぜ「OJT」ばかりの企業に若者は定着しないのか? 上司が部下育成を勘違いする理由
「うちはOJTで育てる」と胸を張る企業がある。OJTとはOn-the-Job Trainingの略で、現場で実務を通じて部下を育てるやり方だ。一見すると効率的で理にかなっている。しかし、このOJT偏重の企業は、実のところ若者の定着率が低いようだ。



