なぜ外国人観光客であふれる? 東京・大阪の混雑を解消する秘策:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
人気観光地でオーバーツーリズムが叫ばれているが、背景には「外国人観光客と日本人の行動が丸かぶり」といった問題がある。それを解決する「AT」とは――。
なぜフランスは「オーバーツーリズム」が少ないか
また、時期によっては、フランス人観光客と地元住民が顔を合わせることもほとんどない。フランス人もバカンスで混雑を避け、国内外の避暑地へ出かけるからだ。例えば、2025年8月29日付の産経新聞の記事「年間1億人の外国人客 花の都は『オーバーツーリズム』批判が意外に少ない」では、凱旋(がいせん)門近くで暮らすパリ支局長がこう述べている。
8月になると界隈(かいわい)はほとんどシャッター通りと化した。歩いているのは旅行に出ない高齢者と民泊客ぐらい。
このように聞くと、「いやいや、日本人はバカンスとかないし、東京とか京都に住んでいる人たちは外国人観光客が押し寄せてもどこにも逃げようがないだろ」と思うだろうが、そういう国だからこそ「AT」を成長させておくべきだったのだ。
外国人観光客を東京・大阪・京都などに「一極集中」させないためには他の地域に「分散」させていくしかない。宿泊者数の延べ人数でわずか1.4%にとどまる東北などに観光客を誘致するのだ。
ただ、そういう動きを進めようとすると、全国の自治体から「うちには外国人観光客を呼べるような観光資源がない」という嘆きの声が上がる。そして次に出てくるのが、「観光客が来そうな巨大施設や交通インフラを整備してくれ」という要望だ。その代表が安倍・菅政権時代に日本中で盛り上がった「IR」(カジノを含む統合リゾート)である。
しかし、こうした巨大観光施設の建設やリゾート開発というのは、投資回収の可否や自然破壊の懸念など、多くのハードルがあるため、結局計画は実現せず塩漬けとなることが多い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「ジャングリア沖縄」はなぜ叩かれるのか? 大自然と人工恐竜の没入感ギャップ
7月25日にオープンしたばかりの「ジャングリア沖縄」が、ネット上で叩かれている。なぜ厳しい意見が飛び交っているのか、その理由は……。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
天下一品の大量閉店が話題になっている。フランチャイジー側の店舗戦略が関係しているとの話もあるが、本当だろうか。天下一品のヘビーユーザーでもある筆者の見解は……。
『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。
