自治体DXの取り組み度合いで全国1位となったのは大阪府豊中市だった。労働力不足解決カンパニーとして複数のSaaSを展開するうるる(東京都中央区)が、全国1741の自治体を対象に実施した「自治体ドックランキング2025」で分かった。
全国自治体のDX取り組み状況が明らかに
1位となった「大阪府豊中市」(DX偏差値76.3)は、まちのデジタル活用を推進し、行政手続きのオンライン化を令和4年度末に100%達成している。2位は「堺市」(76.0)で、DXをけん引する人材「DX PRO」の育成を強化するなど、職員自らが改革を推進する取り組みも活発だ。
3位には「東京都町田市」(74.7)が入った。市のオンライン申請などデジタルサービスの玄関口となるバーチャル市役所ポータル「まちドア」へのAIナビゲーターの導入など、住民サービスに先端技術を積極的に取り入れている。
TOP3の自治体では「フロントヤードの取り組み」と「行政サービスの向上・高度化」で、9〜10点と高得点を獲得している。
4位以下を見ると、4位は「宮崎県都城市」(74.4)、5位は「広島市」(73.4)、6位は「千葉市」「東京都練馬区」「浜松市」(71.2)が同率で並んだ。16位には「山梨県都留市」(69.8)が入り、準中規模の自治体ながら人口規模の大きな自治体と肩を並べる健闘を見せている。
次に、人口規模別にランキングを発表した。大規模自治体(人口20万人以上〜50万人未満、97自治体)のランキング1位は「大阪府豊中市」(76.3)、2位は「東京都町田市」(74.7)、3位は「愛知県一宮市」(71.2)となった。一宮市は、上位3位の中でDX推進体制7.2と最も進んでいる。
中規模自治体(人口5万人以上〜10万人未満、237自治体)では、1位が「新潟県三条市」(69.1)、2位が「新潟県柏崎市」(69.0)、3位が「岐阜県高山市」(68.4)だった。上位3自治体のDX偏差値は68〜69台で拮抗しており、いずれも高い水準を維持している。
小規模自治体(人口5千人以上〜2万人未満、526自治体)では、1位が「石川県羽咋市」(65.4)、2位が「山梨県市川三郷町」(63.8)、3位が「青森県五戸町」(63.4)となった。小規模自治体全体のフロントヤード取り組みは平均3.2点だったものの、上位3位は8点台だった。住民サービスでの先進的な取り組みの差が際立った。
うるるの星知也社長によると、全国的には情報セキュリティ対策やデジタルデバイド対策で進捗が遅れており、DX推進体制の整備が十分でないまま取り組みが進行している自治体もあることが見受けられたという。こうした現状を踏まえ、各自治体はDX推進の現状と課題の双方に向き合い、持続可能な自治体DXの実現が深刻な労働力不足の解決につながると指摘している。
同調査は、総務省の「自治体DX・情報化推進概要」データを一次データとして活用し、同社独自の評価設計に基づき5分野でDX推進度をスコア化。「全国総合ランキング」と「人口規模別ランキング」を発表し、その結果から傾向を分析した。
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