「どっちの石が好き?」――3カ月で累計450万再生、謎コンテンツに潜む偏愛:シリーズ「編集部の偏愛」(1/2 ページ)
ただ石を選ぶだけの動画「激突!石バトル!」が、3カ月で450万再生を突破した。無意味さが逆に熱狂を生み、SNS時代の拡散力と結びついて急成長している。その背景には“推し文化”と新たなビジネスの可能性が潜んでいる、かもしれない。
シリーズ「編集部の偏愛」:
ITmedia ビジネスオンライン編集部のメンバーが、「いま気になるもの・人・現象」をきっかけに、社会や経済の変化を掘り下げる企画である。個人の“偏愛”を軸にすることで、記事には書き手の視点や関心が自然ににじむ。日常の小さな関心が、経済の動きや兆しとどうつながるのかを、取材を通して丁寧に伝えていく。
「どっちの石が好き?」。それだけを問いかけるコンテンツが、XとYouTubeで急速に支持を広げている。
チャンネル名は「激突!石バトル!」。外部分析サイトによると、YouTubeチャンネルは開設からわずか3カ月あまりで累計再生数は約450万回、登録者数も3万5000人を突破した。運営者によると、Xアカウントの総インプレッション数は8320万を超えているという。
何の変哲もない石を2つ並べて視聴者に選ばせるという一見無意味な企画が、なぜ人をひきつけるのか。
シンプルすぎる仕組み
Xアカウントの投稿は極めてシンプルである。「どっちの石が好き?」という問いかけとともに、2つの石の写真が並べられる。石の多くは、街中や河原で拾ったような何の変哲もないものだ。
勝敗はXでの投票で決まる仕組みで、YouTubeチャンネルで勝敗をきっかり15秒の動画で発表する。視聴者自身が石の写真をハッシュタグ付きで投稿し、運営者にピックアップされれば“参戦”することも可能だ。
この無意味さこそが、逆に強烈な魅力になっているようだ。日常に転がっている石に序列をつける行為は、“推し石”を応援する小さな熱狂を育んでいる。XのリプライやYouTubeのコメント欄には「造形が美しい」「現チャンピオンが強すぎる」「右の石は石そのものの魅力じゃなくて撮り方で勝負してないか?」などといった声が並び、石の魅力を熱く語るファンも多い。
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