「コンビニごはん」を支えるのは誰? “ホームタウン騒動”で見えた働き手の知られざる日常:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
JICA(国際協力機構)のホームタウン騒動により、該当する自治体に多くの抗議が届いているという。これはいずれ、外国人労働者を受け入れている企業にも向けられる可能性がある。なぜかというと……。
批判の的は政府から民間企業に
ご存じのように、少子高齢化の日本では毎年約90万人が減少している。これは和歌山県全体の人口に匹敵する規模だ。そこに加えて、日本人のうち約3分の1は65歳以上の高齢者であり、多くが労働力人口には含まれない。つまり、これまで日本人が味わったことのない「未曽有の労働力不足」が待ち構えているので、産業界は政治に対して「もっと、もっと」と外国人労働者の受け入れを求めていく。
「移民反対」を掲げている人たちも当初は、首相や外務省をボロカスに叩く。今回のホームタウン騒動のように自治体に怒りの抗議電話をかける人もいるだろう。
しかし、いくらそれをやっても事態が変わらないことで、やがて真実に気付く。「あれ? これって政府がどうこうじゃなくて、民間企業側がもっと外国人労働者をよこせって言っていることが問題なんじゃない?」と。そうなると、「移民反対」のパッションが向かう先は明らかだろう。
これまでは「○○首相は移民推進の反日政治家!」「外務省は日本を貶(おとし)めようとしている!」という感じで、政府にぶつけられてきた「移民政策への憎悪」が民間企業に向かうことが予想されるのだ。
「そんなのは妄想だ」と笑う人もいるだろうが、移民を多く受け入れている国では既にそのような企業のリスクが顕在化している。
分かりやすいのは、米国における現代自動車だ。
9月4日、ジョージア州にある同社の系列工場で、米移民当局の強制捜査によって韓国人労働者300人以上が拘束された。不法移民を厳しく取り締まるトランプ大統領の政策で起きたことは言うまでもないが、この中には正規のビザで入国した労働者や、技術指導のために数週間の予定で米国出張中の韓国人エンジニアなどもかなり含まれていた。
では、なぜそんな“雑な取り締まり”が起きたのかというと、共和党の極右政治家として知られるトリ・ブラナム氏が「不法移民憎し」から、かなり大げさに盛って現代自動車を「告発」したからだ。
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