「スキル」だけでは見抜けない、“デキるPM”をどう選ぶか 企業が実践すべき5つの評価手法(3/3 ページ)
年々深刻化するIT人材不足ですが、近年はAIの台頭やDX需要の高まりにより、上流工程で意思決定を担える人材の不足が一層顕著になってきました。なかでも特に深刻なのが、プロジェクトマネジャーやプロダクトマネジャーといった中間マネジメント層です。
PMとしてのスキルや能力、定量×定性でどう測るか
PMとしてのスキルや能力を見極めるには、定量評価と定性評価の両方をバランスよく行うことも重要です。プロジェクト規模や予算といった数字で示せる定量指標はもちろん重要ですが、それだけでは十分ではありません。具体的な実務経験のエピソードを通じて、課題に直面した際の柔軟性や問題解決力を評価することも不可欠といえるでしょう。
定量評価
- プロジェクト規模
- 納期やスコープ、品質の達成率
- 予算やリソース管理の実績 など
定性評価
- ケーススタディーや模擬ワークを通じた合意形成力・意思決定プロセス
- 「誰とどう調整したか」のエピソード確認
- 失敗経験からの学びと行動変容 など
日本においても、採用に成功している企業では従来の「効率化」や「工数削減」といった定量的な成果指標だけに依存するのではなく、候補者が実務の中で成果を再現できるかどうかを見極める定性評価の仕組みを取り入れる動きが広がりつつあります。採用に成功している企業では、こうした定性評価を重視する仕組みがすでに浸透しつつあり、「効率化」や「工数削減」といった「定量指標」から「定性評価」へとシフトしています。
重要なのは「自社に必要なPM像の明確化」
PM不足が指摘される背景は、単に市場に人材が少ないからではありません。実際、2024年のPM職求人は前年同月比125.7%増と大幅に伸び、転職求人倍率は10倍を超えるなど競争は激化しています。平均年収もPMで約649万円、PdMで約774万円と全職種平均の約1.8倍に達し、シニア層には1200万〜2000万円クラスのオファーも提示される状況です。
しかし、報酬を引き上げたり採用人数を拡大したりしてPMの数を確保しても、プロジェクトの成功が約束されるわけではありません。根本的な課題は、企業が自社に必要なPM像を明確に定義できていないことにあります。
求める役割や評価基準を言語化し、その資質を見極めること。さらに調整力や巻き込み力といった定性面の能力を、入社後も継続的に評価・育成できる体制を整えることこそが、組織を強化し、プロジェクトを成功へと導く近道といえるでしょう。
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