「スキル」だけでは見抜けない、“デキるPM”をどう選ぶか 企業が実践すべき5つの評価手法(2/3 ページ)
年々深刻化するIT人材不足ですが、近年はAIの台頭やDX需要の高まりにより、上流工程で意思決定を担える人材の不足が一層顕著になってきました。なかでも特に深刻なのが、プロジェクトマネジャーやプロダクトマネジャーといった中間マネジメント層です。
重視される「調整力」と「巻き込み力」
企業のDX推進においても、PMの存在は不可欠です。当社の調査では、レガシーシステム刷新を進める企業の多くが「1〜3年以内の完了」を見込んでいる一方、2018年以前に着手したプロジェクトの約3割が完了時期を「未定」と回答しており、長期化や先行きの不透明さが顕著に表れています。
実際、ある不動産会社のシステム開発プロジェクトでは、社内業務の効率化と外販の両立を目的にしていたにもかかわらず、社内でしか利用できない仕様で納品され、追加予算も確保できず頓挫しました。この失敗の要因は単なる技術力不足ではなく、要件定義や合意形成の不備といった「調整力」や「巻き込み力」の欠如にあったのです。
近年のDX推進や新規事業開発の現場では、高度な技術スキルを備えた人材だけではプロジェクトを成功に導くことは困難です。関係者を巻き込み、異なる利害や意見を整理して合意形成を進める力こそがプロジェクトの成果を左右します。そのため、求人票においても従来の技術要件に加え、「高い折衝力」や「チームを牽引する力」といったソフトスキルを重視する傾向が強まっています。
「実務での成果再現力」を重視
近年のPM・PdM採用においては、単にスキルリストや資格がそろっているだけでは候補者の適性を判断できない状況になっています。採用に成功している企業が共通して重視しているのは、「実務で成果を再現できるか」という観点です。知識や資格のみならず、実際のプロジェクトで価値を生み出せる能力が重要な評価軸となっています。
では、具体的にどのような手法でこの資質を見抜いているのでしょうか。多くの企業では、履歴書や一般的な面接だけでなく、さまざまな評価手法を導入しています。
・ケーススタディー
実際のKPIツリーやプロジェクト状況を提示し、課題抽出から仮説立案、解決策の提案、検証までの思考プロセスを問います。回答に追加制約を与えることで、柔軟性や発想の幅も確認できます。
・体験型ワーク/社会人インターン
候補者に短期間チームに参加してもらい、協働スタイルやコミュニケーションを実務で確認します。面接では見えにくい「再現性」や「カルチャーフィット」を可視化できるため、より実践的な評価が可能です。
・再現性を問う深掘り面接
STARメソッドなどを用いて、過去の成功・失敗経験を行動レベルまで掘り下げます。「なぜその判断をしたのか」「学びをどう次に生かしたのか」といった問いを重ね、行動様式が再現可能かを見極めます。
・優先順位付け/トレードオフの確認
「営業はA機能を望み、開発はリソース不足、経営は短期成果を重視。どう判断するか?」といったシナリオを提示し、関係者調整と意思決定プロセスをリアルに見ることで、実務での判断力を評価します。
・ユーザー理解の解像度テスト
「ユーザーインタビューから得た具体的な示唆は?」など、数字だけでなく現場の声をどう捉えているかを確認します。これにより、ユーザー視点での洞察力や課題発見能力を評価できます。
このように、ケーススタディーや体験型ワーク、深掘り面接など、複数の実務に近い手法を組み合わせることで、曖昧な状況やトラブルを乗り越えつつ成果を出せる人材を見極めやすくなります。
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