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『8番出口』25億円突破 ストーリーなき原作が快挙、なぜ?エンタメ×ビジネスを科学する(1/4 ページ)

インディーゲーム原作の映画『8番出口』が公開2週間で興収20億円を突破、25億円に到達した。ストーリーを持たない原作を再解釈し、観客参加型の構造と深読みの余地がSNSで議論を呼び、異例のヒットを生んでいる。

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著者プロフィール:滑 健作(なめら けんさく) 

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 株式会社野村総合研究所にて情報通信産業・サービス産業・コンテンツ産業を対象とした事業戦略・マーケティング戦略立案および実行支援に従事。

 またプロスポーツ・漫画・アニメ・ゲーム・映画など各種エンタテイメント産業に関する講演実績を持つ。

 『鬼滅の刃』に『国宝』。既にメガヒットタイトルが2作も現れている2025年邦画界に新たな、そして異色のヒット作が誕生した。 インディーゲームが原作の映画『8番出口』が公開からわずか2週間で累計興行収入20億円を突破し、その後25億円に到達している。


『8番出口』の快進撃が止まらない(©2025 映画「8番出口」製作委員会)

 原作は地下鉄駅の地下通路という閉鎖的な空間を舞台にした、ストーリーがない作品だ。この作品がなぜ20億円を超えるヒットとなったのか、考察したい。

『8番出口』とは

 まずは映画『8番出口』について、原作であるゲーム『8番出口』と共に簡単に紹介する。

 8番出口はゲームクリエイターKOTAKE CREATE(コタケクリエイト)により開発された、プレーヤーが謎の駅構内の地下通路に閉じ込められ、「異変」を探しながらループからの脱出を目指すという、ホラー要素や間違い探し要素を組み込んだ脱出ゲームである。

 主人公や登場する場所、人などに特段細かい設定やストーリーはなく、脱出することのみを目指すゲームとして作られている。映画『8番出口』では原作ゲームの仕組みを踏襲しつつ、独自の物語とテーマが創り上げられている。主演の二宮和也演じる主人公「迷う男」は駅構内のループする地下通路に迷い込み、「8番出口」を目指して試行錯誤を繰り広げる。原作通りの謎解きホラー要素に加え、ヒューマンドラマも加えられている点が原作との違いだ。

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