2015年7月27日以前の記事
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『8番出口』25億円突破 ストーリーなき原作が快挙、なぜ?エンタメ×ビジネスを科学する(2/4 ページ)

インディーゲーム原作の映画『8番出口』が公開2週間で興収20億円を突破、25億円に到達した。ストーリーを持たない原作を再解釈し、観客参加型の構造と深読みの余地がSNSで議論を呼び、異例のヒットを生んでいる。

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ゲームの“ループ”とルールを映像化し参加型の映画に

 ヒットした理由の一つに、本作品が視聴者参加型であることが挙げられる。原作ゲーム最大の特徴である「無限ループ」と「異変探し」のルールは、映画でも物語の根幹となっている。

 ゲームでは「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら引き返すこと」「異変がなければそのまま進むこと」「8番出口から脱出すること」という4つのルールが設けられており、正しく進む、または戻ると出口番号が0から1、2と増えていき、8番が表示された後に異変がないルートを進めばクリアとなる。このルールを守れなかった場合、出口表示が0に戻り最初からやり直しとなる。


出所:ゲーム「8番出口」公式Webサイト

 映画でもこのルールが存在し、主人公が異変を探し脱出を目指す様子を主人公の視点で追体験できる。観客自身も「どこに異変があるのか/あったのか」と謎解きに参加するような没入感を味わえる構造になっている。ゲームルールの映像化が体験型のエンタテインメントを生み出したのである。

 この要素は2000年代以降流行しているデスゲーム系コンテンツに通ずるものがある。特に本作は冒頭が原作ゲーム準拠の一人称視点で作られるなど、主人公に自己投影させる仕掛けが随所に仕込まれている。

「あえての空白」が呼ぶ解釈と考察

 また、ヒットの理由として原作ゲームに無かったストーリー性、そこに解釈や考察の余地、観客による深読みの余地を含ませたことが考えられる。

 作中ではメインステージとなる通路に至るまでの会話シーン、そして現れる異変やその意味、登場人物たちの背景、脱出に至るまでの展開とラストシーンなどで、謎を解くものの肝心要の部分は最後まで明示されない。鑑賞後も想像力が刺激され続けるこの仕掛けは、SNSなどで感想や考察がシェアされることで議論を呼び、新たな観客を呼ぶ流れが作られたと考えられる。

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