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『8番出口』25億円突破 ストーリーなき原作が快挙、なぜ?:エンタメ×ビジネスを科学する(3/4 ページ)
インディーゲーム原作の映画『8番出口』が公開2週間で興収20億円を突破、25億円に到達した。ストーリーを持たない原作を再解釈し、観客参加型の構造と深読みの余地がSNSで議論を呼び、異例のヒットを生んでいる。
原作の強みを再解釈し映像化したスタッフの手腕
言うまでもないことだが、本作品がヒットした最大の理由はプロデューサーや脚本家、監督、演者らの手腕である。
観客を投影する主人公として、二宮和也氏は異変に戸惑い、迷い、悩み、葛藤する。そして「迷う男」としての多様な感情を、表情や動作を中心に表現した。原作ゲームでミーム化した通称「おじさん」をそのままネットミーム化した要素として、「歩く男」を演じたのは河内大和氏だ。
また、ストーリーがない原作ゲームがヒットした背景――特に実況配信を通じてブームとなった要素を分解・再解釈し、元来の強みを失うことなく新たにストーリーを加え、映画館という場で『8番出口』の魅力を再現させたのは、脚本の平瀬謙太朗氏や監督の川村元気氏ら製作スタッフである。これら全てがかみ合った結果、この作品のヒットにつながったといえる。
先に書いた「異変」の確認に加え、各自の想像や考察を確かめるため、名演を再度観るため、そして随所に込められたメタファーを解釈するために、二度三度と足を運んだ観客もいたことだろう。原作ゲームにもさまざまな仕掛けがあったように、本作の映像化でも、話題を呼びリピーターを生むための工夫が随所にちりばめられている。
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