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『8番出口』25億円突破 ストーリーなき原作が快挙、なぜ?:エンタメ×ビジネスを科学する(4/4 ページ)
インディーゲーム原作の映画『8番出口』が公開2週間で興収20億円を突破、25億円に到達した。ストーリーを持たない原作を再解釈し、観客参加型の構造と深読みの余地がSNSで議論を呼び、異例のヒットを生んでいる。
邦画史に残る2025年。異色のコンセプト
『8番出口』が記録した興行収入25億円超という数字は2025年の邦画市場において特筆に値する。
『鬼滅の刃』や『名探偵コナン』『キングダム』のような人気漫画を原作としておらず、スタジオジブリのような実績や知名度があるわけでもない。インディーゲームの創造性、そしてスタッフの創造性が表現された本作が興行収入30億円規模に到達した意義は本年のみならず邦画史においても意義深い事象だ。
カンヌ国際映画祭ミッドナイトスクリーニング部門で上映され好評を得たほか、米NEON社による北米配給が決定している。原作ゲームは既に国外向けでも成功を収めており、続く形で映画の海外展開にも期待したい。
興行収入歴代1位に近づき、国外でも人気を博している『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、実写邦画として22年ぶりに興行収入100億円を超えた『国宝』、これらに加え年末に向けて話題作がいくつも控えている。2025年は間違いなく邦画史に深く刻まれる1年となるだろう。
その中でも、『8番出口』は異色コンセプトの作品として特筆するべき作品である。新境地を開拓したスタッフの次回作、原作ゲームクリエイターKOTAKE CREATEの次回作にも期待したい。
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