2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

日清「完全メシ」累計5000万食を突破 担当者が明かす人気のヒミツ海外展開も強化(3/6 ページ)

日清食品の「完全メシ」シリーズが好調だ。累計5000万食を突破し、2025年度は100億円規模の売り上げを見込むが、ヒットの要因は何だろうか。今後の戦略と合わせて日清食品の中村洋一氏に聞いた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

こだわったのは「絶対的においしい」かつ「栄養バランスが整っている」こと

 中村さんに開発時の苦労やこだわりを尋ねると、「まずは『絶対的においしいこと』。さらに、厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』で定められた33種類の栄養素のバランスを整えること」と話した。

 「『足りない栄養素を加えれば、栄養バランスは整うのではないか』と思われるかもしれない。しかし、栄養素の中には独特の苦みやエグみを持つものがあり、そのまま加えると味に影響が出てしまう。商品化にあたって絶対に外せないのは、栄養バランスの確保と、普段の食事と変わらないおいしさの実現である」(中村さん)

 こうした課題に対し、日清食品は長年の経験と研究で培った最新のフードテクノロジーを活用して解決を図っている。最新のフードテクノロジーの代表例は、(1)おいしさを再現する技術、(2)米の加工技術、(3)減塩技術、(4)3層麺の製法技術、(5)肉の加工技術である。

 (1)は栄養素特有の苦みやエグみを感じさせず、おいしく食べられるようにする独自の再現技術だ。「おいしさ」の源である油や塩を多く使うと栄養設計基準を満たせなくなってしまうため、インスタントラーメンなどで培ってきたさまざまなうまみ素材を駆使することでおいしさを実現している。

 (2)は工場で米と栄養素を一緒に炊き込むことで、米本来のおいしさを保ちながら栄養素を配合できる技術だ。(3)はミネラルやアミノ酸などを配合することで、塩が少なくてもおいしく感じられるようにする独自技術。世界中から約170種類の塩を集め、それらを組み合わせながら減塩を実現しているという。


9月22日に全国で発売された「完全メシ 日清のどん兵衛 カレーうどん」

 (4)は「日清のどん兵衛」などでも使用されている3層麺製法。麺を3層に分け、食物繊維やタンパク質を含む内層を、小麦粉などで作った外層で挟み込むというものだ。そうすることで、もちっとした食感を損なうことなく、栄養素が持つ独特な苦みやエグみを感じにくくしている。

 (5)は「カップヌードル」でおなじみの、肉と大豆タンパクでできた「謎肉」の技術を応用したもの。大豆タンパクや野菜などを混ぜてミンチ状にし、フリーズドライ加工する技術だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る