なぜ、UCCは「食べるコーヒー」を開発したのか 研究者「豆を丸ごと食べたい」(4/4 ページ)
UCCの食べるコーヒー「YOINED」は、コーヒー豆を丸ごと使った新しいスタイルの商品。発売初年度から話題となり、翌年は販売数が1.5倍に。飲むコーヒーとは違う香りと味わいが楽しめることから、幅広い層に支持されている。
ブランドを「正しく理解してもらう」
2025年冬からは、3シーズン目の販売を予定している(詳細は非公開)。1シーズン目はエチオピア産のコーヒー豆、2シーズン目はタンザニア産キリマンジャロAAを使用した。
課題は、商品の正しい理解を促進することだ。見た目から、どうしても「コーヒーチョコ」と誤解されやすい。そこで、これまで同様に販路は直営店とECサイトに限定する。「新しいコーヒーのカテゴリーを作っている段階。販路を広げると誤解されて伝わる可能性がある」と小坂さんは語る。
加えて、コーヒー豆の市場価格高騰も懸念のひとつになる。異常気象により主要生産国での生産量が不安定となり、2025年上半期のコーヒー豆価格は、過去35年で最高水準に達した。安定的な供給体制の構築も、重要な課題となりそうだ。
UCCは創業以来、コーヒーの研究を重ねてきた。YOINEDは、その取り組みから生まれた商品だ。小坂さんは「コーヒーの新しい可能性を見つけ出し、伝えていくことが役割」と話す。
YOINEDは、コーヒーにあまりなじみのない人や苦手な人でも、豆の味わいに触れられる商品として開発された。実際に「コーヒーは苦手だがYOINEDなら食べられる」という声もある。「砂糖や油脂が入っているため、苦味以外の風味も感じられるのが特徴」と小坂さんは説明する。
同社はコーヒーの健康成分に着目した機能性表示食品「&Healthy」も展開するなど、研究を生かした多角的なアプローチを続けている。YOINEDのような新カテゴリーだけでなく、コーヒーがもつ可能性を広げる提案を今後も進めていく考えだ。
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