なぜ、UCCは「食べるコーヒー」を開発したのか 研究者「豆を丸ごと食べたい」(3/4 ページ)
UCCの食べるコーヒー「YOINED」は、コーヒー豆を丸ごと使った新しいスタイルの商品。発売初年度から話題となり、翌年は販売数が1.5倍に。飲むコーヒーとは違う香りと味わいが楽しめることから、幅広い層に支持されている。
5日で年間目標を達成
YOINEDは発売時から話題となり、初年度の売上目標をわずか5日で達成。同商品を扱うUCCの直営店では、列を作る客の姿も見られた。1シーズン目、ECサイトで販売を再開するたびに、約2時間で完売した。
2シーズン目となる2024年も好調で、ECサイトでは予約開始日の売り上げが前年の3倍を超えた。シーズンを通した販売数も前年比1.5倍に達した。
ヒットの要因を小坂さんは、「商品の価値を香りに絞ったこと」だと分析する。「飲む時よりも香りを強く感じられる」という訴求が消費者の興味を引いた。
ネーミングでも同様の判断を貫いた。「イートコーヒー」という名称も検討したが、食べることではなく香りの余韻こそが真の価値と判断し、YOINEDに決定。この一貫した価値設計がヒットにつながった。
当初は「食」への感度が高い層をターゲットにしたが、実際はコーヒー好きが強く反応した。「コーヒー好きの新しいものを求めるニーズを刺激できた」と小坂さんは手ごたえを語る。
2シーズン目は、パッケージをダークトーンに変更したことで40〜50代男性の購入者が増え、男性比率が10ポイント上昇した。一方、バレンタインシーズンにはプレゼント需要で女性購入者も増えるという。また、「おつまみコーヒー」として日本酒やウイスキーとのマリアージュも提案し、晩酌シーンという新たな市場開拓も図っている。
購入者からは、「脳がバグる」という声が多く寄せられている。見た目はチョコなのに、味と香りはコーヒーというギャップが、消費者に驚きや混乱を与えているようだ。
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