元球団社長が「地方の回転すし屋」に……なぜ? 銀座、国会議事堂に打って出た塩釜港の勝算:地域経済の底力(2/7 ページ)
行列の絶えない回転ずし店「塩釜港」が、銀座や国会議事堂などに次々と出店している。その背景にある思いとは……。
球団社長から地方すし屋へ、異色の転身
塩釜港の経営のかじ取りをする立花社長の経歴は異色だ。
慶應義塾大学を卒業後、外資系金融機関であるソロモン・ブラザーズやゴールドマン・サックス、メリルリンチなどを渡り歩いた。2012年からはプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの運営会社である楽天野球団の社長を約9年半務めた。誰もがうらやむエリート街道を歩んできた人物が、なぜ地方の回転ずし店の経営に乗り出したのか。
塩釜港との出会いは2015年ごろにさかのぼる。楽天野球団時代、塩釜神社を訪れた際、職員に「すごくおいしい回転ずしがある」と勧められたのがきっかけだった。
「大変生意気な話ですが、回転ずしには行ったことがありませんでした」
東京出身の立花社長にとってのすしとは、幼少期には町のすし屋の小上がり席で、社会人になってからは接待で訪れる高級ずし屋のカウンター席で味わうものだった。回転ずしは、すし屋が「ファミレス化」したものという認識で、実際に足を運んだことはなかった。
そのため、初めて職員に連れて行かれた時は半信半疑だったという。
塩釜港の本店に着くと、客の行列ができていた。渋々列に並び、店内へ。しかし、そこで食べたすしは衝撃的だった。「回転ずしのレベルではなく、本当においしかった」と立花社長は振り返る。
それから年に3回ほど塩釜港へ足を運ぶようになり、楽天野球団の納会でマグロの解体ショーを依頼するなど、ビジネス上の付き合いも深まった。また、友人や知人などにも自ら宣伝するようになった。
そして、店に通ううちに、当時塩釜港を切り盛りしていた鎌田秀也現会長の人となりにも魅力を感じるようになった立花社長。親交を深め、信頼関係を築いていった。
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