スマホの「ながら運転」をどうやめさせるか カーナビの功罪とメーカーの対策:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
運転中のスマホなどの使用による死亡・重傷事故は増加しており、問題になっている。ながら運転をさせないために、ドライバー監視システムなどを普及させるとともに、運転中にスマホを使えなくすることも検討すべきだ。官民で対策を強化しなければならない。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
最近、脇見運転による交通事故が増えている印象がある。見通しの良い直線道路での交通事故や渋滞末尾での追突事故で、第一当事者(事故の責任が重い側)の言い訳は「前をよく見ていなかった」というものが多いからだ。
ハッキリと言っていないが、おそらくその大半はスマホを注視していたのではないだろうか。それほどまでに、スマホ依存が社会にまん延している。
高速道路の走行中に他の行為をしているドライバーが多いことは、高速バスの乗客によるSNSの投稿からもうかがえる。
信号が青になっても発進しないドライバーも増えている印象だ。停止中には認められているスマホやカーナビの操作に夢中になり、信号が変わったことに気付かないことが多いようだ。
クルマの運転が手軽になり、車内が快適になって、片手間で運転できている感覚になると、走行中に他の動作をすることへの抵抗が希薄になってしまう。
運転が手軽になること自体はユーザーの満足度を高め、クルマの商品力を向上させる。しかし、走行中に運転以外の行動をしやすくしている可能性も否定できない。
ドライバーは、運転中は自室でくつろいでいるのとは違う環境だということを今一度、思い起こす必要がある。そんなことは当たり前だと思うかもしれないが、実は感覚がまひしているドライバーは多そうだ。
ATやCVTであれば、左手にスマホを持ったまま運転できる。大型トラックもAMTが主流になった。ましてや高速道路では一定速度で巡航し、それが長時間続くのだから、慣れてしまうと緊張感を保つのは難しい。
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