インタビュー
森永の「板チョコアイス」はなぜ消え、なぜ売上倍増で帰ってきたのか?(3/5 ページ)
一度販売休止した森永の「板チョコアイス」が復活している。通年販売や限定フレーバー、コラボ戦略で認知拡大を果たし、直近5年で売上は2.4倍に。人気再燃の背景を探る。
夏場の伸び悩みを打破
ところが、濃厚な味わいの特徴があるため、夏場の売り上げは想定より伸び悩んだ。そこで、2023年6月から後味をさっぱりさせた「夏限定商品」(同184円)を発売。チョコと油脂の配合比率を変更し、バニラアイスの甘さを軽減した結果、前年比116%を記録し、夏場の売り上げが回復した。
同年の秋冬には「白い板チョコアイス」を展開し、女性を中心に顧客層を拡大。その後も、限定フレーバーの商品を販売している。その狙いについて、谷山さんは「知ってもらうためのきっかけづくり。定番品でアプローチできない層にも楽しんでもらうことを狙った」と説明する。
プロモーション施策も並行して行い、2023年からアイドルを起用したCMで若年層への認知拡大を促進。2024年には料理系YouTuberとコラボし、家庭で板チョコアイスを完全に再現する動画を公開した。原材料情報をもとに何度も試作する様子が共感を呼び、再生回数は200万回を超えた。
2025年には、期間限定で「バースデーショートケーキ味」(同260円)を発売し、SNSを活用したプレゼントキャンペーンを展開。さらに、人気ゲーム「アイドルマスター」との周年コラボ企画も行った。
複合的な施策の背景には、一貫して「板チョコらしさ」を訴求する狙いがある。パッケージデザイン、コラボ施策、限定商品のいずれも、「板チョコアイス」としての存在感を打ち出すことを重視している。
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