生成AIは「新人の敵」に!? 現場でもうすぐ起きる3つの苦悩(2/4 ページ)
生成AIの普及により業務のアウトプットや効率が劇的に向上している。AIの力でスキルや経験値が浅い社員であっても高い成果を出し得るという見方がある一方、新人教育の現場からは、生成AIの普及によるリスクを危惧する声も聞こえてくる。果たして生成AIは新人の成長にとって追い風なのか、逆風なのか?
生成AIにツッコミを入れられない
3人の事例からは、生成AIの活用が進む現場で、新人が直面している本質的な課題が浮かび上がってくる。それは、
(1)問いを立てられない(イシュー設定力の欠如)
(2)思考プロセスが見えない(ブラックボックス化)
(3)自分を俯瞰(ふかん)できない(メタ認知の欠如)
という3つの観点だ。いずれも、従来の新人育成において「経験を通じて身につけていたプロセス」が、生成AIの導入によってスキップされることで起きている。
成果は出せても、「なぜその成果が出たのか」や、「どこが良くてどこに再現性があるのか」が見えない。また、誰と何を競い、どのような成長を目指すべきなのかも見失いやすい。その結果、「成長実感」や「自信」へとつながりにくい構造が生まれている。では、新人が直面する3つの課題について、それぞれ深掘りしてみよう。
(1)問いを立てられない(イシュー設定力の欠如)
CaseAの山崎さんは、仕事の目的や課題を考える「イシュー設定力」が欠如した事例である。AIが“それらしい答え”を即座に返してくれる今、仕事の起点となる「問いを立てる力」が育ちにくくなっている。上司の指示や会議で出たテーマをそのままAIに投げかけても、それは仕事をやったことにはならない。
仕事において本来求められるのは、「なぜこれをやるのか?」「何を明らかにしたいのか?」といった本質を問う姿勢であり、そこに至るまでの前提や制約、関係者の視点を読み解く力である。しかし、生成AIが即時にアウトプットを返してくれるため、「そもそも自分は何を問うべきか」という認知が育たないまま、AIの出力だけを成果と見なしてしまうリスクがある。
この「イシュー設定力の欠如」は、経験の浅い新人に特に起きやすい。上司と新人、それぞれの目線を対比してみよう。
社会人経験が豊富な上司の場合、最終アウトプットを見た時に「何かがおかしい」と違和感を抱ける。また、メンバーのアウトプットを確認し修正する立場でもあるため、普段からツッコミを入れることに慣れている。そのため、AIのアウトプットに対して、自分なりの評価軸を基にツッコミを入れ、批判的に考察する「イシュー設定力」を持ちやすい。
一方、新人の場合、経験値が浅いため自分なりの観点(持論)を醸成することは難しい。上司と比べて自分がツッコミを入れることに慣れていないため、知らず知らずのまま「イシュー設定力」が抜け落ちてしまいやすい。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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