初の女性総理誕生の裏で 「女性管理職が増えない」と嘆く企業が見落とす「数」の威力:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/4 ページ)
日本の政治界のトップに「女性」が就任しました。高市早苗首相は「オールド・ボーイズ・ネットワーク」による前例主義、教条主義がはびこる政治の世界に、風穴を開ける存在となるのでしょうか。
小池都知事が実践した「女性の数を増やすこと」
同じく「女性初のリーダー」が就任した組織の事例でいうと、291万2628票という圧倒的な勝利で、女性初の東京都知事に就任した小池百合子氏です。小池氏が精力的に取り組んだのが「女性の数を増やすこと」でした。
2016年、東京都知事に就任した当時、女性都議は25人(定数127)でわずか19%しかいませんでした。そこで小池氏は、都民ファーストの会を発足させ「希望の塾」を開催。2017年の都議選では塾生などを積極的に擁立し、女性都議は3割一歩手前の36人まで増えました。
2021年7月に行われた都議選では、当選者のうち女性が占める割合は32%とついに3割越えを達成します。政党ごとの当選者に占める女性の割合は東京・生活者ネットワークが100%(当選1人)、共産74%、都民ファースト39%、立民27%だったのに対し、政権与党の自民はわずか12%、公明党も13%といずれも2割にも達していませんでした。
多くの調査で、集団に占める女性の割合が40%になるとバランスが均衡することが確認されています。バランスの均衡とは、機会の平等であり、個人の資質や能力が正当に評価される組織です。小池氏が女性だったからこそ「6:4」という男女の分け隔てが消え、男女にとらわれない、真の機会の平等が達成したといえます。
それだけではありません。東京都は女性が働きやすい環境づくりに向けて「女性活躍に関する条例」の制定に動いています。都は、2000年制定の「東京都男女平等参画基本条例」に基づき施策を進めてきました。雇用・就業分野において女性の就業者数は増えたものの、非正規雇用が多く、管理職の割合は低い水準にとどまってます。アンコンシャスバイアスによって、女性の進学や職業選択などに影響を及ぼしていることの是正と解消に取り組んでいくそうです。
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