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初の女性総理誕生の裏で 「女性管理職が増えない」と嘆く企業が見落とす「数」の威力河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/4 ページ)

日本の政治界のトップに「女性」が就任しました。高市早苗首相は「オールド・ボーイズ・ネットワーク」による前例主義、教条主義がはびこる政治の世界に、風穴を開ける存在となるのでしょうか。

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企業が持つべき柔軟さ

 これだけ「育児と仕事」を両立する人が増え、育児をする男性も増え、さらに超高齢社会で70歳まで働く人が増えているのに、「働き方のスタンダード」が昭和のままなのはおかしい。男女共同参画白書によると、2024年の民間企業における管理職女性の比率は、係長級でこそ24.4%と3割までもう少しですが、課長級では15.9%、部長級はわずか9.8%です。

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民間企業の雇用者の各役職段階に占める女性の割合の推移(男女共同参画白書より引用)

 企業はこの少なさを、現状を、もっと深刻に受けて止めて「なぜ、我が社には女性管理職が少ないのか?」を徹底的に考えた方がいい。まずは入社した際の男女比がどのように変化していくのか? その「数」を把握してほしいです。

 ある中小企業の社長さんが面白い話をしてくれたことがあります。

 「うちの会社はね、育児休暇から復帰したらリーダーに昇格する。だってリーダーに求められるのは、限られた時間と予算で、目標を達成するためのタイムマネジメント力、予測不能な事態に対処するスキル、決して思い通りにならないメンバーをなんとかして動かす人間力だろ? 育児って、それを実践しているわけよ。子どもは予測不能だし、旦那はちっとも分かってくれない。それでもちゃんとやり遂げるスキルを、育児期間中に身に付けていくわけだ。そのスキルを無駄にするのはもったいない」

 「仕事はね、周りの力を借りながらやっていけばいい。ちゃんと学ぶ気持ちがあれば、3カ月もすればなんとかなる。だからね、うちの会社は産休・育休に入る社員も、送り出す社員も、戻って来るときが楽しみなんだよ」

 こんな頭の柔らかさを、企業にはぜひ持ってもらいたい。そのやわらない思考が、「働き方のスタンダード」を変えるきっかけになるはずです。

河合薫氏のプロフィール:

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 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

 研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)、『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか - 中年以降のキャリア論 -』(ワニブックスPLUS新書)、『働かないニッポン』 (日経プレミアシリーズ) など。

 新刊『伝えてスッキリ! 魔法の言葉』(きずな出版)発売中。


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