管理職の課題は組織にどう影響する? 世代ごとに変わるマネジメントの焦点
管理職が抱える課題は、組織にどのような影響を与えるのか。企業向け教育研修・採用支援を展開するジェイック(東京都千代田区)が調査を実施した。
管理職が抱える課題は、組織にどのような影響を与えるのか。企業向け教育研修・採用支援を展開するジェイック(東京都千代田区)が調査を実施した。
世代ごとに変わる管理職の課題 組織への影響は?
20〜30代の若手管理職では「目標達成に向けたチームマネジメント(計画/実行/管理)」を課題として感じている人が最も多かった。特に30代では「他部署との連携推進力」(22.8%)や「部下を動かすコミュニケーション力」(20.3%)など、周囲を巻き込みながら成果を出す力への課題感が強まっていることが分かった。
40代では「部下の強みを生かしたチームビルディング力」(25.5%)を課題として感じている人が最多となった。チーム全体のパフォーマンスを最大化する力が求められているようだ。
一方、50代管理職では「権限委譲を通じた部下育成」(13.3%)や「キャリア形成支援」(12.8%)など、後進育成を意識した課題が他年代より高い割合となった。60代では課題が全体的に分散し、マネジメント上の悩みが多様化。管理職の年代が上がるほど、求められる能力が「業績達成」から「人材育成」へとシフトしていることが分かった。
管理職の課題が組織に与える影響については、約7割の企業が「何らかの影響がある」と回答した。特に「チームマネジメント力」不足では「短期業績の悪化」(25.0%)や「長期業績の悪化」(23.0%)が多く挙がった。
「部下を動かすコミュニケーション力」の欠如は「部下のモチベーション低下」(28.8%)につながるとされ、管理職のマネジメントスキルが組織の成果や士気を左右する構図が浮き彫りとなった。
ジェイックによると、管理職に求められる役割は、働き方改革や人材の多様化を背景に大きく変化しているという。従来の指示・命令型のマネジメントでは成果を上げにくくなっており、部下の心理的安全性を高め、個々の強みを生かす力が求められている。
また、管理職育成では年代や役割に応じた支援が重要で「若手には計画・実行力の強化を、中堅層には部下育成やチームビルディング力の向上を促す取り組みが効果的」と指摘。世代別の育成支援が、次世代リーダーの育成と組織の持続的成長につながるとした。
調査は9月14〜18日、経営者・人事担当者400人を対象にインターネットで実施した。
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