2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

リクルートで成績"ビリ"→トップ営業へ  明日の商談から実施できる「眼前可視化」の効果前編(1/3 ページ)

従来の足で稼ぎ、トーク力やコミュニケーション能力で勝負する営業はもう"無理ゲー"化している。これまで多くの人が、このスタイルでの営業に限界を感じ、営業職を離れていった。顧客のことを深く理解し、信頼関係を築くための方法として注目を集めるのが「眼前可視化営業」である。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

 「自分は営業に向いてない」──そう感じている人ほど、実は営業で成果を出せる可能性がある。

 従来の足で稼ぎ、トーク力やコミュニケーション能力で勝負する営業はもう"無理ゲー"化している。これまで多くの人が、このスタイルでの営業に限界を感じ、営業職を離れていった。

 顧客と信頼関係を築き、顧客の課題を解決するために知恵を絞る──この本質に立ち返れば、営業という職種はとても楽しいものなのではないか。今はその本質に向き合えていない、自分本位の営業が多い。

 ではどうしたら、長く続いてきた「自己中な営業スタイル」から脱却できるのか。顧客のことを深く理解し、信頼関係を築くための方法として注目を集めるのが「眼前可視化営業」である。

 リクルートで成績ビリからトップ営業へと転身した、『とにかく可視化―仕事と会社を変えるノウハウ―』(新潮新書)の著者である菊池明光氏に、属人的なスタイルから脱却できない日本の営業組織の課題や眼前可視化の効果を聞いた。聞き手はopenpage代表取締役の藤島誓也氏。

※本記事で語られる「眼前可視化営業」とは、商談中に顧客の目の前でリアルタイムに議事録を作成しながら、認識をすり合わせていく営業手法を指す。


リクルートで成績"ビリ"→トップ営業へ 最初は「話についていけなかった」

藤島氏: 菊池さんがリクルート時代に実践していた「眼前可視化」について、まずはどんなきっかけで始められたのか教えていただけますか?

菊池氏: 僕はリクルートに入社したとき、ずっと成績がビリだったんです。会議が早すぎて、みんなが何を言っているのか分からない。能力的に全く追いついていませんでした。

藤島氏: それは大変でしたね。

菊池氏 ついていけないので、メモで書いて「これであってますか?」と確認しながら仕事をしていました。「ここまでしか分かりません」とメモを見せる。悲鳴に近い感じで始めたんです。

 能力がなかったからこそ、眼前可視化にたどり着いた。これは誰でもできる方法なんです。

顧客と“メモを見ながら”話す効果 「提案書作成」が不要に

藤島氏: 一般的な議事録を取ることと、どう違うんですか?

菊池氏: 大きな違いは、相手と一緒に、その場で作るということです。普通の議事録は商談後に一人で作りますよね。でも眼前可視化は、お客さまの目の前でリアルタイムに書きながら「この理解で合ってますか?」と確認していく。

藤島氏: お客さまも画面を見ながら、ということですね。

菊池氏: そうです。ただ耳で聞いていても議論が追いつかない。でも画面を一緒にメモを見ながら「これで合ってますか?」と確認することで、認識のズレがなくなる。これは、相手との信頼関係を築くことにつながるんです。

藤島氏: それが実際の営業現場でどう生きたのでしょう?

菊池氏: 営業から企画職に異動。その後入社9年目に、再び営業に戻ったときのことです。ポンパレという販促サービスへの掲載営業を担当していました。商談ではお客さまの横に座り、画面を一緒に見ながらリアルタイムで議事録を作成。「いつから掲載しますか?」「何を売りますか?」「目標は?」「なぜこの商品なんですか?」──など、ヒアリングしながら、その場で打ち込んでいったんです。


(『とにかく可視化:仕事と会社を変えるノウハウ』より)

藤島氏: お客さまの反応はどうでした?

菊池氏: 最初は「トラブりたくない」という自己防衛から、眼前可視化を始めたんです。でも、これが予想以上に効果的だった。お客さまも「ちゃんと理解してくれてる」と安心してくれるし、その場で条件が固まるので、議事録がそのまま提案書になるんです。商談後に持ち帰って作り直す必要がない。

藤島氏: 仕事の効率が圧倒的に上がりますね。

菊池氏: そうなんです。そして気づいたら、ポンパレモールの営業でトップセールスになっていました。成績ビリだった僕が、眼前可視化で1番になったんです。

藤島氏: ビリからトップへ──すごい逆転劇ですね。営業が苦手だと感じている人ほど希望が持てる話です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る