設定が難しい? でも慣れれば最強――Claudeの「スキル」で定型業務を自動化する方法:その悩み、生成AIが解決(1/2 ページ)
2025年10月からClaudeの有料プランで利用可能になった「スキル」は、ユーザーが独自にワークフローを作成できる仕組み。指定した処理を実行したり、それを指定の形式で出力したりできる。そのまま使えるプロンプトと共に、文書作成を楽にするスキル作成の手順を紹介する。
連載:その悩み、生成AIが解決
アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。
Q.毎週の週報作成が面倒です。Claudeでも、ChatGPTのGPTsのように定型文書の作成を楽にする方法はありますか?
2025年10月からClaudeの有料プランで利用可能になった「スキル」は、ユーザーが独自にワークフローを作成できる仕組み。指定した処理を実行したり、それを指定の形式で出力したりできる。
機能の方向性としては、ChatGPTの「GPTs」やGeminiの「Gem」と同様の位置付けといえる。ただし、技術的自由度が高い分、初期設定の難易度はGPTsやGemに比べると少々高めだ。「設定を試みたけれど、エラーが発生してあきらめてしまった」という方もいるかもしれない。
今回は、そのまま使えるプロンプトと共に、文書作成を楽にするスキル作成の手順を紹介する。
著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
独自のワークフローを作成可能だが、設定難易度はやや高め
スキルの初期設定では、指定された形式で作成した設定用のファイル群をZIPファイルにまとめてアップロードする必要がある。
詳細なルールは公式ドキュメントにまとめられているが、ファイルに含める情報や記載形式が細かく指定されており、手作業で作成するのは非常に手間がかかる。そのため、スキル設定に必要なファイル一式をClaudeで出力するのがおすすめだ。
ただしこの場合も、単に「スキルを作成して」などと指示しただけでは、正しい形式のファイルが出力されない。この時点で細かく要件を指定する必要がある。
今回は、「Claudeが必要な項目を順に質問し、回答をもとに週報を自動生成できる」スキルを作成する。まずは通常のClaudeチャットに、下記のように指示すればよい。
そのまま使えるプロンプト
このプロンプトでは、最初にスキルの概要を示した後、出力するファイルの種類を具体的に指定している。スキル設定で必ず必要になる「SKILL.md」に加え、週報の詳細を記載した設定ファイルと、使い方の説明やトラブルシューティングを記載したファイルの出力を指示した。
さらに、スキルを使うときの動作フロー(質問形式での情報収集→Word形式での出力)も明確に指定している。
次のような回答が出力された。
【回答】
今回は、ファイルの内容を確認しやすいように、各ファイルをプレビュー画面(アーティファクト)で表示した上で、全てをまとめたZIPファイルを出力している。
このうち、実際に使用するのはZIPファイルとなる。内容に問題がなければZIPファイルをダウンロードしよう。続いて、サイドバー下部のアカウント名→「設定」を開き、「機能」タブの「スキル」欄にある「スキルをアップロードする」からファイルを追加すればよい。
もしこの段階でエラーメッセージが表示された場合、アップロードしたファイルに何かしらの問題があることを意味する。スキルを作成したときのClaudeチャットにエラーメッセージの内容を伝え、修正を指示しよう。
エラーが出ることなくファイルアップロードできれば、設定は完了だ。スキル一覧の最上部に追加したスキルが表示され、右側のスイッチをオンすれば利用可能になる。
今回は、スキルを呼び出すきっかけの言葉(トリガーワード)として「週報を作成して」を指定している。このトリガーワードをチャット欄に送信すると、「週次期間を教えてください」「担当者名を教えてください」などの質問が返ってくる。
最後まで質問に答えると週報が作成され、ダウンロードも可能になる。毎回テンプレートファイルを開いて項目を入力する場合に比べて効率的に作成でき、内容も均一化できるのがメリットだ。
なお、現時点ではClaude上でスキルを直接共有する機能はないが、スキル設定用のZIPファイルを配布することで、チーム内での共有が可能だ。チームで使いたい場合は、作成したZIPファイルを配布し、各メンバーが各自の環境で設定を行う必要がある。
Claudeはエンジニア向け機能の拡充に注力しており、「スキル」も複雑な処理を行えるカスタマイズ性の高さを持っている。
それゆえ、書類作成のようなライトな用途では競合ツールのGPTsなどに比べて初期設定のハードルが上がっているが、今回紹介したように、Claude自身にスキル作成を依頼することで省力化できる。
もしエラーが出ても、Claudeに相談しながら根気強く解消を試みれば解消が可能だ。定型業務の効率化に悩んでいるなら、一度試してみる価値は十分にあるだろう。
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