「部下が自走してくれない」と悩む前に リーダーが知るべき言語化3ステップ(1/2 ページ)
「メンバーが自走しない」「いちいち指示を求められる」──こうした悩みを持つリーダーは多いだろう。言語化コンサルタントの木暮太一氏は「メンバーが動かないのは、リーダー側の言葉に問題がある」と指摘する。
本記事の内容は、RX Japan(東京都中央区)が9月10〜12日に開催した「第24回 総務・人事・経理 Week」内で実施された「第1回 理想の管理職EXPO」のセミナー「メンバーが自走する『リーダーの言語化』」の内容を要約したものです。
「メンバーが自走しない」「いちいち指示を求められる」──こうした悩みを持つリーダーは多いだろう。言語化コンサルタントの木暮太一氏は「メンバーが動かないのは、リーダー側の言葉に問題がある」と指摘する。メンバーの自走を促す「言語化スキル」と、具体的な実践方法を紹介する。
メンバーが自走するための言語化3ステップ
木暮氏は「メンバーが自走しない根本原因は、日本の組織に見られる『曖昧(あいまい)な指示』にある」と指摘する。例えば上司から「いい感じにやっておいて」と業務を依頼されたとする。しかし、上司が思う「いい感じ」とメンバーが思う「いい感じ」は異なる。その結果、部下の成果物は上司の期待に沿えない内容となり、やり直しが発生してしまう。
曖昧な指示は口頭によるものだけではない。「商談やメールの締めで頻繁に使われる『よろしくお願いいたします』は、『何を』よろしくお願いしているのか、例えば商材を購入してほしいのか、来店してほしいのか、アンケートに答えてほしいのかなどが不明確なため、相手の具体的な行動や反応を引き出せない」(小暮氏)
こうした状況を打開するために、小暮氏は「言語化」の必要性を強調する。重要なのが、言語化の定義だ。小暮氏によると、言語化とは「言葉にすること」ではなく「明確にすること」だという。つまり、言葉になっていても内容が不明確であれば、言語化できたとは言えないのだ。
ハーバード大学の研究によると、人間が知覚している事柄の95%は自分自身で認識できていない、曖昧な状態だという。この曖昧さがそのまま曖昧な言葉となり、相手に伝達されてしまうのだ。「メンバーが動かないのは、能力ややる気がないのではなく、『何をすべきか分からない』状態にあるから。まずはリーダーが、メンバーに何を・どのように動いてほしいかを明確に伝えなければならない」(小暮氏)
リーダーの役割は「何をすべきか」を指示すること、メンバーの役割はリーダーの指示を「いかにクオリティ高く実行するか」だ。リーダーの言語化スキルによって「何をやるべきか」が明確になり、方向性の理解が一致することで、メンバーは初めて自走できる。小暮氏は「リーダーが明確な指示を出さずに『とりあえず頑張れ』というのは、役割放棄しているのと同じ」と話す。
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