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「舌打ち」「無視」が若手を追い込む 中高年が知らぬ間に加害者になる「グレーゾーンハラスメント」の怖さ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
ハラスメントとまではいえないが不快感や戸惑いを覚える言動を指す「グレーゾーンハラスメント」に関するアンケート結果が公表されました。今回は調査結果からあれこれ考えてみようと思います。
なかなかしびれる、アンケート結果が公表されました。
テーマは「グレーゾーンハラスメント」。これは「ハラスメントとまではいえないが不快感や戸惑いを覚える言動」を意味し、「昔はこうだった〜」「君のためを思って〜」といった、何気に口にしてしまう言葉も含まれるとか。最悪の場合、そのストレスから逃れるために会社を辞めるケースも少なくないそうです。
中高年からは「中高年叩き=昭和おじさん・おばさんハラスメントは平然と行われているのに、なんだか釈然としないなぁ」といった声も聞こえてきそうですが、不用意に加害者にならないためにも、今回は調査結果からあれこれ考えてみようと思います(以下、気になった項目を抜粋・要約。小見出しは著者による)。
舌打ち、無視、昔話……グレーゾーンハラスメントの実態
グレーゾーンハラスメントの経験について
- 「これまで職場で10歳以上歳が離れた人との会話やメールなどで不快に感じたこと(=グレーゾーンハラスメント)がありますか」の問いに、「はい」は38.9%で4割弱が経験。
- 具体的な内容のトップ3は「ため息や舌打ち、あいさつを返さないなど、不機嫌な態度で接された」(26.2%)、「社内の飲み会や接待への強制」(16.2%)、「過去の慣習や個人的な価値観・先入観に基づく発言をされた」(14.5%)。また、「無視されたり仲間外れにされた」経験をした人が9.5%もいた。
退職意図との関連
- 「受けた言動が原因で、退職を検討しましたか」の問いに、半数近い45.8%が「はい」と回答。退職検討につながる不快な言動のトップは「無視されたり仲間外れにされた」(70.2%)、次いで「社外の飲み会や接待への参加を強制された」(66.4%)、「業務時間外のプライベートな付き合いへの参加を強制された」(65.1%)だった。
これもグレーゾーン?
- 「私が若い頃は」「今の若い子は」と言われた経験を半数近くがしていて、そのうち25.5%が「不快・違和感があった」と回答。
- 「君のためを思って」とアドバイスされた経験は約4割、「彼女・彼氏はいるの?」「休日の予定は?」とプライベートなことを聞かれた経験がある人も4割ほどだった。
- 「不機嫌な態度や雰囲気で接する(ため息、舌打ち、あいさつを返さないなど)」を4割超が経験し、うち32.1%が「不快・違和感があった」としている。
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