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「とりあえず出社」だけを押し付けていないか? “出社回帰”成功企業が実践する3つの共通点(3/3 ページ)

かつてリモートワークを推進していた企業の多くが、次々と「原則出社」へと舵を切り始めています。出社回帰は単なる働き方の見直しにとどまらず、経営戦略の転換や事業の変化、組織の再編など、企業全体に影響を及ぼします。レバテックの最新調査データをもとに、「なぜ今、出社回帰が起きているのか」「企業はこの変化とどう向き合うべきか」を読み解きます。

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出社回帰を成功させる3つのポイント

 出社回帰が進む中で焦点となっているのは、勤務形態の選択そのもの以上に、出社とリモートをどう選択し、どのように機能させるかです。ここでは、出社回帰をうまく実現している企業の共通点を、3つの実践ポイントとして整理します。

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提供:ゲッティイメージズ

(1)出社の「目的」をエンジニア目線で具体化する

 多くの企業が陥るのは、「なぜ集まるのか」が曖昧(あいまい)なまま出社を促すことです。「コミュニケーション不足」や「生産性低下」といった抽象的な理由では、社員の納得は得られません。成功企業では、出社の目的を具体的に定めています。

  • イノベーション創出のため(チーム横断のワークショップ、壁打ち会など)
  • 育成・ナレッジ共有のため(OJT、コードレビュー、メンタリングなど)
  • 文化醸成のため(社内ランチ、イベント、帰社日など)

(2)現場のエンゲージメントを重視した制度設計

 「週3日出社」など形式的なルールで縛るほど、現場のエンゲージメントや生産性は低下します。重要なのは、経営層やリーダーが「何のために来てほしいのか」を自らの言葉で伝えることと、現場の裁量を尊重することです。

 実際、現場のエンゲージメントと生産性を高めることを目的に、全社で基本方針を定めつつ、チームごとに出社ルールを調整する企業も多く見受けられます。

(3)小さく試して、改善を繰り返す

 最初から完璧な制度を作る必要はありません。むしろ、小さな実験を重ねて制度を進化させる姿勢が重要です。

  • 月1回のアンケートや社内調査で効果を測る
  • オフィス利用率やSlackでのやり取り量を可視化
  • 1on1やミーティングで「出社してどう感じたか」をヒアリング

 こうした出社回帰の流れは、企業と社員の双方に「働くとは何か」を改めて問い直す機会です。企業には、事業戦略と結びついた「自社らしい働き方」を、社員との対話の中で共創できるかどうかが問われています。

著者プロフィール:芦野成則

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レバテック株式会社 リクルーティングアドバイザー

一橋大学を卒業後、官公庁に5年半勤務し、2019年にレバレジーズに中途入社。

レバテックのキャリアアドバイザーとして、年間約300人以上のエンジニア・ITコンサルタント向けのキャリア支援を行い、その後ハイクラス専任チームの立ち上げに従事。

現在は企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザーとして、人事目線での社内実情やIT人材の転職市場動向を踏まえ、多角的な視点から採用支援を実施。

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