ホンダは電動化で何を狙うのか プレリュード復活とSuper-ONEで描く“ホンダらしさ”:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
ホンダの新型プレリュードが好調だ。モーターの特性を生かしたスポーツ性能によって、中高年層に運転の楽しさを思い出してもらおうとしている。ホンダの電動車の魅力を伝えるためには、長年培った“ホンダらしい走り”を実現することが必要だろう。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
ホンダの新型プレリュードの販売が好調だ。24年ぶりに復活させたスペシャリティカーは、ハイブリッド専用モデルで617万円という立派な価格にもかかわらず、月販目標(800台)の約8カ月分を発売直後に受注し、バックオーダーを抱える人気ぶりをみせている。
そもそも月販目標が少なく、アーリーアダプター(最新の製品やサービスに飛びつく層)へ行き渡ったらその後の販売台数は低空飛行を続けるのでは、という予測もある。しかし、近年にないジャンルのクルマとして、中高年ドライバーを中心に人気を博しているのは間違いない。
24年ぶりに復活したホンダ・プレリュード。もともと軟派なデートカーというキャラクターだったが、新型は洗練された大人のスポーティクーペ。実用性と、ドライバーを高揚させる洗練された乗り味が魅力だ(写真:ホンダ)
2ドアで高級感のある内装を備えた大人のクーペというキャラクターも魅力的であるが、試乗したドライバーをひきつけるのはその操縦感覚だろう。
そもそもEVやシリーズハイブリッドといったモーターで走行するクルマは、MT車と同じくダイレクト感にあふれた走行感覚を与えてくれるという魅力がある。それはアイドリングやクラッチがなく、正逆どちらにも回転できるモーターの特性からすれば「利用しなけりゃ損」と思えるほどの特性だ。
さらに実際にタイヤを回す駆動力となるトルクはほぼ一定であり、静止状態からの加速によって最も強く加速Gを感じるため、同じ出力のエンジンと比べると、はるかにパワフルに感じる。こうしたモーターならではの特性は、EVの登場初期から注目されていた。
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