月1万4000件の「声」から「不具合」をすぐ特定 バンダイが挑むVoC分析のスピード化(1/2 ページ)
「宝の山」にも例えられる顧客の声(VoC)。だが、日々寄せられる膨大な声を分析し、企業にとって本当に価値ある情報、例えばサービスや商品などの具体的な不具合箇所を迅速に特定するのは容易ではない。商品不具合の迅速な把握を実現したバンダイに、話を聞いた。
「宝の山」にも例えられる顧客の声(VoC)。だが、日々寄せられる膨大な声を分析し、企業にとって本当に価値ある情報、例えばサービスや商品などの具体的な不具合箇所を迅速に特定するのは容易ではない。
大手玩具メーカーのバンダイは2023年3月、テキストデータから情報を抽出し、可視化するテキストマイニングツールを導入。商品不具合の迅速な把握を実現した。プロダクトマネジメント部相談センターチーム マネージャーの中田京子氏に、導入の経緯や成果を聞いた。
寄せられる声は年間約17万件 一見無駄のない対応フローだったが……
バンダイが展開するお客様相談センター(以下、相談センター)は2拠点あり、月1万4000件、年間約17万件の問い合わせが寄せられている。問い合わせの内訳は初期不具合に関するものと、オペレーターの案内で解消するものが半々で、連絡手段はメールが75%、電話は25%。スーパーバイザーを含む47人のオペレーターが日々対応している。
相談センターで問い合わせを受けた後、オペレーターはまず、本体にある7桁のコードから対象の商品を探す。続いて、「機能・性能」「破損」「外観」など100件超の分類コードから、問い合わせ内容に該当するものを選択。その後、テキストデータとして、「ロボットの左足が折れた」など、商品に何が起きているのかを記録する。記録した情報は、翌日には社内ポータルサイトで閲覧できるよう連携される。
一見無駄のない仕組みだが、ある課題があった。「定量データを確認するのには優れているのですが、不具合箇所を把握するには受付内容のテキストデータを読み解く必要があり、時間がかかっていました」。不具合箇所をスピーディーに認識できないか。解決案を模索する中で、テキストマイニングツールに着目したという。
バンダイは、プラスアルファ・コンサルティング(東京都港区)が提供する生成AI搭載テキストマイニングツール「見える化エンジン」を活用しており、中田氏はその理由について「データ連携の可否」を挙げる。「既存のBIツールが日次連携しており、相談センターで受付した翌日には、社内にフィードバックできています。このシステムと併用することを想定して、日次連携できること、サポート体制が充実していることを評価しました」
見える化エンジン導入に際し、中田氏はレポートの表示方法について特にこだわったという。玩具メーカーであるバンダイは、キャラクター商品を多数扱っている。マッピングやデータクラウドといった機能上で適切に表示させるためには、キャラクター名の辞書登録が欠かせないからだ。
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