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月1万4000件の「声」から「不具合」をすぐ特定 バンダイが挑むVoC分析のスピード化(2/2 ページ)

「宝の山」にも例えられる顧客の声(VoC)。だが、日々寄せられる膨大な声を分析し、企業にとって本当に価値ある情報、例えばサービスや商品などの具体的な不具合箇所を迅速に特定するのは容易ではない。商品不具合の迅速な把握を実現したバンダイに、話を聞いた。

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「触角」か「触覚」か 誤字脱字の難しさ

 見える化エンジン導入後、社内向けポータルサイトのアクセス数は導入前の3倍に増加。中田氏は「既存のBIツールは、Excelでデータを落として自ら加工する点では優れていました。そのため、アクセスするのは事業部門の中でもモノづくり人材に限られていました。ですが、見える化エンジンは感覚的に状況を把握できるので、ライトユーザーも使用しやすくなり、アクセス数の増加につながったのではないでしょうか」と分析する。

 一方で、テキストマイニング特有の課題も浮上した。誤字脱字の検出だ。テキストマイニングは、文字を構文解析するので、例えば虫の「触角」を「触覚」と記載してしまうと別のものと区分する。その結果、「触角25件」「触覚10件」といったように間違った数が出てしまうのだ。「主要なアイテムは、どうやって表現されているのか確認しています。誤字脱字を見つけた場合は、相談センターに修正依頼を指示しています」

 中田氏は、見える化エンジン導入について、「費用対効果は出ています」と評価する。社内のアクセス数増加に加え、これまではデータを加工しなければ事業部門にフィードバックできなかった体制から、日次・週次と簡易に状況が把握できるようになり、フィードバックの頻度が上がったことが理由だという。

 その一方で、アクセス頻度に課題があるという中田氏。「社内の品質イベントなどで紹介するとその後しばらくはアクセス数が伸びるのですが、平時には落ち着いてしまいます」。ツールの使用方法を伝える社内のeラーニングや、勉強会の開催など、地道な浸透活動を続けているという。

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相談センター、今後の展望は? (同社提供)

 バンダイが扱う商品数は年々増加しており、直近では年間約1万1000点の新商品を発売している。多くの商品は、市場で流通するのが数カ月から1年とライフサイクルが短いのが特徴だ。こうした状況を受けて、中田氏は「お客さまの声から商品の改善サイクルが進み、新商品やリピート商品の購入につなげることが目標です」と話す。

 AIにも着目している。「お客さまからの問い合わせ手段は、電話からメールへとシフトしています。当社が用意したQ&Aで解決できるものは、問い合わせすることなく解決できるよう、AIチャットボットにチャレンジしたいと考えています」

 バンダイは未就学児向けや、3歳未満の乳幼児向け商品、菓子・食品、衣料品、生活雑貨など幅広い商品を扱っているため、親世代から安全性に関する心配の問い合わせがあるのも事実だ。DXやAI活用を進める一方で、中田氏は「お客さまへ寄り添う、人でしかできない対応もしっかり継続していきたいと考えています」と強調した。

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