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旧態依然の体制、大きな組織体……DXでつまずく老舗企業に足りない、3つの視点(1/2 ページ)

老舗企業にありがちな旧態依然の体制や大きな組織体により、DXやAI導入がなかなか進まないと悩む担当者も多いだろう。プロジェクトを推進する際の考え方や、マインドの在り方とは?

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本記事の内容は、ウイングアーク1st(東京都港区)が11月11〜12日に開催した「UpdataNOW25」内で実施されたセミナー「100年越え企業が挑むAIエージェント活用 - 営業部門から管理部門まで広がるAIによる全社変革」の内容を要約したものです。


 老舗企業にありがちな旧態依然の体制や大きな組織体により、DXやAI導入がなかなか進まないと悩む担当者も多いだろう。1912年創業の西本Wismettacホールディングス(以下、西本Wismettac HD)の副社長執行役員Co-COOの古橋洋人氏は、自社でのAI導入事例を基に「老舗企業がDXを進められない背景には3つの要因がある」と話す。プロジェクトを推進する際の考え方や、マインドの在り方を解説する。

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提供:ゲッティイメージズ

システムアレルギーな営業現場 どう説得した?

 西本Wismettac HDは、アジア食品の開発および海外販売などを手掛けており、米国やカナダなど、世界44カ所 (2024年12月31日時点)に拠点を持つ。創業100年を超える老舗企業である同社の課題の一つが、営業現場の非効率だった。

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西本Wismettac HD 拠点一覧(同社公式ウェブサイトより引用)

 古橋氏によると、同社は米国に21拠点を展開し、約1000人が在籍。SKU(在庫管理単位)は5000〜1万点以上で、飲食店や小売店へ食品を卸している。

 主要な取引先である飲食店に対し、営業担当者は、ランチやディナーの時間帯を避けて、顧客を訪問する必要がある。その結果、いくつもの飲食店を回る営業担当者は、同じ時間帯に集中する数十件ものオーダー入力を、システムに手作業で打ち込む作業に追われていた。営業担当者の中には、1日の活動時間の50%をこのデータ入力に費やしている担当者もいたという。

 古橋氏は、顧客からのオーダーがSMSやPDFといったテキストで来ることに着目。手書きでなければ、AIでテキストを認識し、そのままシステムに入力できるはずだと判断し、営業現場の業務効率化を目指す「AIオーダー入力」施策に取り掛かった。

 当時の営業現場には「『システムは役に立たない』という強いアレルギーがあった」と振り返る古橋氏。「2カ月でプロダクトのベースを開発できる」と断言したところ、「そこまで言い切る人は珍しい」と協力的な支店長が現れ、テストしやすい土壌が作られたそうだ。

 DX支援を手掛けるEverforth(東京都渋谷区)が伴走しながら開発を進め、宣言通り約2カ月でプロダクトのプロトタイプが完成。約1カ月のテストを経て、現場へ導入した。EverforthのCEOである森下将憲氏は、スピード感を重視した開発を進めるために「プロダクトが90〜95%の完成度であっても現場に導入する。現場からのフィードバックを受けて改善しながら、同時に現場への浸透を図るのがコツ」と話す。

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