ニュース
旧態依然の体制、大きな組織体……DXでつまずく老舗企業に足りない、3つの視点(2/2 ページ)
老舗企業にありがちな旧態依然の体制や大きな組織体により、DXやAI導入がなかなか進まないと悩む担当者も多いだろう。プロジェクトを推進する際の考え方や、マインドの在り方とは?
老舗企業が着実にDXを進める3つのコツ
老舗企業が着実にDXを進めるポイントとして、古橋氏は3つ挙げる。1つ目がマネジメント層の理解だ。古橋氏はDX推進に抵抗感を持つ古いマネジメント層や社員に対して、テクノロジーが「ツール」ではなく「社会を進めるための普遍的な要素」であることを浸透させる必要性を強調した。
2つ目がスピード感だ。森下氏は「AIの進化により、ビジネスにおける開発スピードは従来の10倍程度に向上している。半年〜数年かける従来の契約はナンセンスであり、仮説検証を繰り返すスピードが重要となっている」と話す。古橋氏もこれに同意し、「すぐに現場の課題に着手するスピード感が大切だ」と話す。
3つ目が、ベンダーとの関係性だ。古橋氏は「クライアントとベンダーではなく、パートナーとして目指したいゴールと期間だけを共有し、実現方法は柔軟に協議・推進する体制が必要だ」と力説する。
古橋氏の元には、DX推進に悩む企業からの相談が寄せられている。「うちにはCTO(最高技術責任者)がいないから進まない」という声が多いそうだが、古橋氏は否定的だ。「AIを理解し、社内事情にも精通し、組織作りもできるCTOはそういないし、いたとしても一人に頼るべきではない。外部に優秀なパートナーを作り、複数のテーマを複数のパートナーと並行して進める体制こそが、老舗企業にとって現実的な解だ」(古橋氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「仕事は楽な方がいい」 ワイン一筋から「デジタル人材」に大変身 キリンDX道場でベテラン社員が学んだこと
多くの企業がDX人材の育成に課題を抱えている中、キリンHDは2021年から、「DX道場」という独自プログラムを展開。受講者の中には、研究職出身ながら業務自動化ツールを使いこなし、具体的な成果を挙げた例も出ているという。同社に話を聞いた。
ロート製薬「週休3〜4日制」は“休みを増やすため”ではない 意外な狙いとは?
ロート製薬(大阪市)は10月20日、週3日または週4日の勤務を基本とする勤務制度「ビヨンド勤務」を導入すると発表した。一般的な「週休3〜4日制」かと思いきや、休みを増やすことが目的ではないとう。同社に詳細を聞いた。
人件費なんと「年270億円」増加! JR東“本気の人事制度改革”の中身
JR東日本が、人事・賃金制度を大改革する。年間の単体人件費を270億円以上増額し、10年先を見据えた新制度を打ち出した。制度の詳細を広報担当者に聞いた。
AI活用の推進だけでは危険 生成AI時代に必須な「セット型ガバナンス」とは?
今や業務でのAI活用は当たり前になりつつある一方、AIをめぐる技術的な不確実性は依然として高く、インシデントも急増している。これから求められるAIガバナンスの考え方とは。
