日本人の給与は依然として安すぎる? 頭脳流出で国の未来は、本当に大丈夫か:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
賃上げが経済政策として進められているが、世界の先進国と比べると日本の給料は安い。特にエンジニアなどの高度人材では差が大きく、海外企業から「安い労働力」を求められる事態だ。人材の流出を止めるため、“安すぎる”状態から脱する必要がある。
日本人を採用したい理由とは
世界的にも、日本人は基礎能力が高いと評価されている。数学的なリテラシーが高く、緻密な作業が得意であり、時間や納期を守る意識の高さも世界でも上位に位置する。
海外の企業などとやりとりすると分かるが、時間にルーズなのは当たり前で、いい加減な仕事をする人も少なくないし、仕事を放り出して休暇に入るなんてザラだ。日本で働いていると、そんないい加減な人と出会うことはほとんどない。
また日本人は協調性が高く、組織の論理に従順な傾向がある。筆者は以前、外資系企業と仕事をしたときに、自分の言い分を率直に話していたところ、周りの日本人から「よくあんなにはっきり言うな」と驚かれたことが何度もある。良いか悪いかは別にして、海外企業では、必要なことは伝えないと不利になることがある。ただ日本人の多くは協調性を重視するので、グッとこらえることが少なくない。
海外先進国と比べて日本の労働賃金が低い原因は一概には言えない。しかし、1990年代以降の長期デフレや低成長の影響で、企業が人件費を抑制してきたことが大きいと分析されている。そこから脱却できない状態が続いているのだ。
海外のリポートを見ると、日本人のエンジニアなどは海外企業からの引き合いが強まっており、採用が増えていることは間違いない。特にコロナ禍以降、リモートで仕事をするのが当たり前になっている。日本の人材に注目が集まるのは当然だといえる。
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