「上司と将来について話す機会がない」部下が5割 意識にギャップも
パーソルイノベーションの調査で、部下の5割が上司とキャリアについて話す機会が「ない」と回答した。キャリア対話が機能していない実態が浮かび上がっている。
副業人材マッチングサービスを運営するパーソルイノベーション(東京都港区)は、20〜40代の管理職・非管理職の会社員を対象に「キャリア自律と上司と部下のコミュニケーション」に関する実態調査を実施した。上司とキャリアや将来について話す機会について、部下側の50.3%が「全くない」「ほとんどない」と回答し、キャリア対話が不足している実態が明らかになった。
キャリアへの影響は「限定的」が多数
上司とのコミュニケーションが自身のキャリアに与える影響について「キャリア選択にはあまり影響していない」と答えた人が52.7%で最多だった。上司と部下の間で直近1年に最も多く交わされた会話テーマは「業務進捗・タスク管理」(27.8%)や「人事評価・目標設定」(25.5%)が中心で、日常のコミュニケーションが業務寄りであることが分かった。
部下支援は「評価・目標設定」など業務中心に偏る
上司側に部下のキャリア支援として行っていることを聞いたところ「評価や目標設定に基づいたアドバイス」(36.4%)や「定期的なキャリア面談」(34.0%)が多かった。業務上の報告や評価の場はあるものの、キャリアの方向性や将来像を共に考える機会が限られ、上司の関与が十分にキャリア形成に活かされていない現状がうかがえる。
上司側が感じる難しさ「本音を引き出しにくい」
上司側がキャリアに関するコミュニケーションで難しさを感じる点として、「部下の本音を引き出しづらい」(35.6%)や「世代間・価値観のギャップ」(31.6%)が多く挙がった。
部下側は「そもそも会話の場がない」ことが壁に
一方、部下側が感じる上司とのキャリアコミュニケーションの難しさでは、「キャリアについて会話する機会がない」(39.9%)が最多だった。このほか、「本音を言うと評価に影響しそう」(17.9%)と回答した人もいた。
上司と部下の間では、コミュニケーション機会が不足しているだけでなく、「話したくても話せない」「聞きたくても聞けない」という意識のギャップが存在し、キャリア対話が十分に機能していない実態が浮き彫りになった。
今回の調査は、全国の企業に勤める20〜40代の男女会社員を対象にインターネットで行った。期間は2025年10月2〜3日、有効回答数は660人。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
部下「出社義務化なら転職します」 上司は引き止めるべきか、去ってもらうべきか
出社義務化で部下が次々辞める時代。管理職はどう向き合えばいいのか――答えは意外なところにある。
新人「議事録はAIにやらせました」何がダメなのか? 効率化の思わぬ落とし穴
新人がAIを駆使すれば効率化できる――はずだった。ところが現実は顧客の信頼を失う危険すらある。便利なはずのAIが、なぜ組織のリスクに転じてしまうのか。
「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?
SNS発の「○○キャンセル界隈」が職場にも広がり、「残業キャンセル界隈」を名乗る若手が増えている。背景には働き方改革の誤解や成果への無関心がある。組織の生産性低下を防ぐには?
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。






