【1カ月使って分かった】AIブラウザ「ChatGPT Atlas」、乗り換え前にやっておきたい4つの設定：その悩み、生成AIが解決

米OpenAIが2025年10月に提供を開始した「ChatGPT Atlas」は、ChatGPTを中核に据えて作られたAIブラウザだ。約1カ月メインブラウザとして使ってきた筆者の経験を踏まえ、AIブラウザの恩恵を受けるためにやっておきたい4つの設定について解説する。

[酒井麻里子，ITmedia]

連載：その悩み、生成AIが解決

アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか？　ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授します。

Q．ChatGPTのブラウザ「Atlas」を試してみたけれど、Chromeとの使い勝手の違いに慣れません。快適に使うにはどうしたらいいですか？

　米OpenAIが2025年10月に提供を開始した「ChatGPT Atlas」は、ChatGPTを中核に据えて作られたAIブラウザだ。現時点ではMacOS向けのみ提供されている。

　ChatGPTを中心に考えるなら利便性が高いものの、そのままでは従来のブラウザの使い勝手が損なわれる面もある。約1カ月メインブラウザとして使ってきた筆者の経験を踏まえ、AIブラウザの恩恵を受けるためにやっておきたい4つの設定について解説する。

AIブラウザの恩恵を受けるためにやっておきたい4つの設定を解説する

著者プロフィール：酒井麻里子（さかい・まりこ）

ITジャーナリスト／ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』（理工図書）、『先読み！IT×ビジネス講座ChatGPT』（共著・インプレス）など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。

「ブラウザのメモリ」で回答が賢くなる　Atlasならではの設定

　Atlasでは、新規タブがChatGPTの画面として開かれる。これだけ見ると、単に「ホーム画面がChatGPTになったブラウザ」のように見えるが、本質的な特徴は外観ではなくメモリ機能にある。

Atlasブラウザでは、新規タブでChatGPTの画面が開く

　従来のChatGPTの「メモリ」機能では、これまでのチャットでのやりとりの内容を回答に反映できた。Atlasブラウザでは、これに加えて「ブラウザのメモリ」として、Web検索時の情報も利用できる。

　設定の「パーソナライズ」→「ブラウザのメモリを参照する」をオンにしておくと、検索によって蓄積された情報がChatGPTの回答に反映される。

　特筆すべきは、どこのサイトを訪問したかという単純な履歴でなく、同時に開いているタブや直前に見ていたページといった情報が要約され、それらを含めた“文脈としての情報”が保管される点だ。これにより、自分のことをより理解した回答が得られるようになるのだ。

ブラウザのメモリをオンにすると、検索履歴の情報が回答に反映されるようになる

　なお、ブラウザのメモリはデフォルトではオフになっており、ユーザーが明示的にオンにした場合のみ機能する。また、必要なときにいつでもオフにしたり、過去のメモリを削除したりすることが可能だ。

AtlasでGoogle検索をストレスなく使う方法

　Atlasブラウザでは、アドレスバーからキーワードを入力してEnterキーを押した場合、標準設定ではChatGPTによる回答が行われる。Google検索をしたい場合は「Command」キー＋「Enter」の操作が必要になる。

　この仕様に慣れていないと、「従来のブラウザの感覚でアドレスバーにキーワードを打ち込んで検索したつもりが、ChatGPTの回答が始まってしまった！」とイラッとすることになる。

　Google検索を併用することが多い人は、そんなストレスを回避するためにEnterキーでGoogle検索を行えるようにしておくと便利だ。設定の「ウェブ参照」→「デフォルトの検索エンジン」で「Googleを優先する」を選択すればよい。

従来のブラウザと同じ感覚でアドレスバーから検索したい場合は、デフォルトの検索エンジンを切り替えておこう

拡張機能でChromeの利便性を取り戻す

　Chromeユーザーにとって、ブラウザ乗り換えの大きな障壁となっているのが拡張機能だろう。いつも使っている拡張機能が利用できなくなるだけで、作業効率は大きく低下する。

　現在のAtlasブラウザは、Chromeウェブストアで公開されている拡張機能の多くを追加できる。右上のアカウントアイコン→「拡張機能」→「すべての拡張機能を管理」からストアを開くことが可能だ。追加した拡張機能はツールバーにピン留めして利用できる。

Chrome拡張機能も追加可能。ツールバーにピン留めして利用する

　ただし、全ての拡張機能が対応しているとは限らないため、普段使っているものが問題なく作動するか、個別に確認しておくことが不可欠だろう。

もう迷子にならない　「垂直タブ」でAtlasの“タブ地獄”を一掃する

　調べものをしていると、いつの間にか大量のタブが開いた状態になり、必要なタブが見つからなくなる場合がある。新規タブからChatGPTの会話を気軽に始められるAtlasブラウザの場合、なおさらそんな「タブ地獄」の状態に陥りやすい。

　そこで活用したいのが、「垂直タブ」だ。設定の「一般」→「タブのスタイル」で「垂直タブ」を選ぶと切り替えできる。

　画面左端にタブの一覧が並び、開いているタブの数が増えてもページタイトルを確認しやすいのがメリットだ。

「垂直タブ」は、タブの数が増えても管理しやすく長いページタイトルも確認しやすいのがメリット

　ChatGPT Atlasではこのほかに、サイドバーから現在開いているタブの内容について質問したり、エージェントモードを使ってページを操作したりも可能。Web検索とChatGPTによるリサーチが完全に一体化した形なので、これまでもChatGPTをブラウザのタブで常に開いていたユーザーには利便性の高いブラウザだ。

　ただし現時点では試験提供段階で、MacOS以外の環境では利用できないことを考慮すると、完全に乗り換えるというよりは、これまで使っていたブラウザと併用しながら利用するのがいいだろう。