コンビニ激戦区で、沖縄ファミマが「首位堅持」 成長支える人材戦略に迫る:沖縄ファミマの勝ち筋【後編】(2/3 ページ)
2019年にセブンが沖縄に進出し、コンビニ激戦区と化した。乱世に突入して6年たつが、現在も沖縄ファミマが首位を堅持している。同社の成長を支える人材戦略を取材した。
初任給を2万7500円増額 育成制度もテコ入れ
人材育成でも、同社は新たなステージへ踏み出そうとしている。
今年の11月上旬には、2026年度に開始する人材の獲得と育成に向けた包括的戦略を発表した。新卒初任給を現行から2万7500円引き上げて23万5000円とし、県内著名企業の中でも高水準に。さらに非管理職の正社員約100人を対象に、賞与を含めた年収を平均で約6.1%引き上げる。
2027年度入社の社員からは入社後10年間で3部署を経験する「ハイパフォーマー育成プラン」の制度を導入する。入社後4年間は、全員が営業本部で現場と数字のイロハを学ぶ。その後は本人の希望を尊重した上で、開発、商品、経営戦略という3本部のうち二つを3年間ずつ経験する。
視野を広げさせる背景には、コンビニという業態の特性がある。
「コンビニは、自分たちの仕事以外にも関わる業界の裾野がとても広いです。店舗の棚に置く商品は食料品から日用品、雑貨などのほか、最近では衣料品も増えてきました。デジタルサイネージへの広告需要も伸び、店舗開発においては建設業界との関わりもあります。だからこそ、複数部署を経験した職員が各部署にいれば、お互いの仕事を理解しながら建設的な議論ができると思います」と岸本氏。全社の業務に対する解像度が高い人材を育て、総合力を高める狙いだ。
同時に、人口減少と人件費の高騰が進む中で「人海戦術に頼らない経営」への転換も急務と見る。人材への投資は社員数を増やすことが目的というよりも、デジタル化や業務設計の見直しも並行して進めることで「2人でやっていた仕事を1人でできるようにする」ことが主の狙いだ。そこで生まれた余力を、新規事業や地域との連携、付加価値の高い業務に振り向けていく考えなのだろう。
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