「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ:【2025年メガヒット記事】(2/4 ページ)
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?
EC時代に強い「アウトレットモール業態」
日本ショッピングセンター協会によると、アウトレットモールとは、季節外の商品や難あり商品などの処分を目的とするメーカーの直営店が入るショッピングセンターのことだ。ショッピングモールのディスカウント版といったところだろうか。
アウトレットモールは広大な土地に多くの店舗を集めているのが特徴で、商圏は広い。また、多くの場合、異国風のデザインで統一されており、単なる商業施設ではなく、リゾート地やテーマパークのようなアミューズメント施設の要素もある。
一部のアウトレットモールが好調な理由は、買い物にとどまらない体験ができるためだろう。特に小売業では、近年ECの普及により、リアル店舗への客足が落ちつつある。しかし、「体験価値」がメインとなるアウトレットモールは、相対的にECの影響を受けづらい。
また、さまざまな商品の価格が高騰する中、直営店でありながらより安価に商品を購入できるアウトレットが、国内消費者に魅力的に映っていることも、人気の理由だろう。実際、筆者もよくアウトレットモールに足を運ぶが、有名ブランド品でも「販売価格の40%オフ。さらに、そこから本日限定で20%オフ」……と、何重にも割引になっているのを目にする。
近年、これに加わっているのがインバウンド観光客である。先に紹介した軽井沢アウトレットでは、2024年度の免税売り上げが8%増の100億円で、全体の約17%を占めているという。また、三井アウトレットパークでも、2008年ごろから海外団体客の誘致に積極的に取り組んでおり、香港拠点のキャセイパシフィック航空の会員プログラム「キャセイ」との連携プログラムも展開している。
ショッピングセンター全体の数は、2018年をピークに減少し続けているにもかかわらず、アウトレットモールについては新設やリニューアルオープン、増床などが続いている。2019年以降、新設や増設、再開業などが行われた数は19施設と、その好調ぶりが分かる。(参照リンク)。
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