「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ:【2025年メガヒット記事】(3/4 ページ)
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?
一方で、「ガラガラ」なアウトレットモールも……
こう書くと、「アウトレットモールなら何でも勝機がある!」と思われがちだが、実はそうでもない。
訪れたことがある人ならば分かると思うが、基本的に各モールに入っているテナントは似ている場合が多い。そのため、既存のモールの近くに、より大きなモールや新しいモールができると、そちらに人が流れる傾向がある。つまり、売り上げは立地に左右されやすいのだ。
軽井沢アウトレットが好調だった理由も、北陸新幹線の延伸に伴う影響が大きいとされており、多くのアウトレットモールが高速道路のIC沿いにあるのも、この立地の問題をクリアするためだ。
また、前述の通り新しいアウトレットモールの誕生は広範囲のモールに大きな影響を与える。これが、アウトレットモールの「二極化」を起こす原因となっているのだ。
大阪府岸和田市にある「岸和田カンカンベイサイドモール」(以下、岸和田カンカン)が良い例だ。この西館がアウトレットモールとなっているが、中を見るとテナントがほとんど入っておらず、ガラガラだ。建物は英国の港町を模した雰囲気になっているため非常に豪華なのだが、逆にガラガラ度合いとのギャップが激しく、その豪勢な建物もかえってむなしく映る。
この施設が誕生したのは1997年。日本初かつ関西初のテナントが多く入居したことで、開業当初は1カ月で120万人の来場者があった。日本ショッピングセンター協会の月刊誌によると、見込みの来場者数は100万人だったため、それを20万人も上回っていたことになる。
しかし2000年に、岸和田カンカンから車で10分ほどの場所に、「りんくうプレミアム・アウトレット」が誕生。同施設は、アウトレットモールの売り上げランキングでも上位にランクインしていて、関西国際空港から近いこともあり、国内客とインバウンド需要の両方を取り込んでいる。さらに、岸和田カンカンに比べ、広大な店舗面積と豊富なテナント数を誇っている。
この影響を受けて、岸和田カンカンは大きく衰退。現在では空きテナントが目立つようになっている。
茨城県大洗町にある「大洗シーサイドステーション」でも、同様の現象が起こっている。ここは2006年に誕生し、かつては「大洗シーサイドモール」というアウトレットモールだった。しかし、2011年の東日本大震災で浸水被害にあい、一時閉鎖。その後再び開業するも、2013年に、千葉県酒々井町に開業した「酒々井プレミアム・アウトレット」の影響を受けて衰退。最終的に運営母体は破産してしまった。現在は運営母体が変わっているものの、テナントは当初の半分以下にまで減っている。
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