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20年連続で売上減少 組織崩壊の危機にもあった、老舗缶メーカーの「V字回復」の裏側(2/5 ページ)

1906年創業の老舗缶メーカー「側島製罐」は20年連続での売上減少と雰囲気の悪い組織という苦境に立たされていた。同社を継いだ6代目の改革によって、V字回復とチームワークの改善が見られたが、どのような改革があったのか。舞台裏を取材した。

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「怒らないと人は動いてくれない」 度重なる社員との衝突

 石川氏が2020年の入社後にまず取り掛かったのはインフラ整備だった。紙だらけだったバックオフィスや営業業務のデジタル化、ロースペックPCの交換や新しいPCの支給、オフィスや工場の労働環境の整備などを進めていった。その中で少しずつ社員との関係を構築していった。

 これまでのやり方を大きく変えていくにあたって、不安に感じた社員もいたようだ。石川氏は「今はみんなと強固な信頼関係を築けていますが、仲違いしたこともたくさんありました」と振り返る。

 「前代表の父の姿を見ていて、中小企業では怒らないと人は動かないと思い込んでいたんです。怒りたくないけど怒ってしまった結果、社員に『良かれと思ってやっていたのに、頭ごなしに怒られる。なぜこんなことを言われなければならないのか。俺はもうこの人の下で仕事できない』と言われて、1カ月くらい口をきいてもらえませんでした。最終的に和解し、会話ができる状態になりましたが、自分のやり方が間違っていたと気付けました」


工場での作業風景。社員とぶつかることも一度や二度ではなかったという

 このようなぶつかり合いは一度や二度の話ではない。社員と衝突した際には諦めずに分かり合えるまでずっと話し続け、パワハラやセクハラが横行する文化にも根気強く向き合った。最初は「お手並み拝見」と見ていた社員たちも、会社が少しずつ変わっていく空気を感じ、現在は腹を割って話し合える関係に発展した。

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