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「中国資本が火葬料を釣り上げている」は本当か 東京博善の社長に聞いた、“風評被害”の実態スピン経済の歩き方(5/7 ページ)

火葬料金の値上げが話題になっている東京博善だが、なぜこのタイミングで「夕刻葬」に踏み切ったのか。社長に聞いてみると……。

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「葬儀業界のタブーを破った」グループ会社の存在

 個人的には「葬儀業界のタブーを破った」ことによる反発も大きいのではないかと思っている。東京博善と同じ広済堂グループに属する「広済堂ライフウェル」が2021年から葬儀業に参入した。首都圏在住の方であれば「東京博善のお葬式」というテレビCMをご覧になったことがあるだろう。


「東京博善のお葬式」(出典:広済堂ホールディングスのプレスリリース、以下同)

2025年版のテレビCMイメージ

 「それの何がいけないの?」と首をかしげる人もいるだろうが、葬送業界には「葬儀」と「火葬」は別々の業者らが担う暗黙のルールがあった。それをここまで堂々と“領域侵犯”されたら、葬儀社側としてはかなりイラッときているはずだ。

 このような指摘をすると、野口社長は困ったような顔をして「そういうご指摘はいただいておりますが、葬儀サービスを提供しているのはグループ会社であり、東京博善ではありませんし、私たちとしてはこれまで通りに葬儀社さまにご協力いただき、葬送文化を守っていくだけです」と言葉少なに語った。

 2024年度に、葬儀サービスをめぐって国民生活センターに寄せられた相談は978件と過去最多を更新した。これは、葬儀ビジネスには今なお、利用者から見えにくい「ブラックボックス」が多く残っていることを示している。

 こうした状況の中で、東京博善は“心づけ”という慣習を廃止し、利用できる葬儀業者が全体の3割にしか満たず「一部葬儀社の利権」とも言われていた「区民葬」という制度からの撤退も決断した。しかも、グループ会社が葬儀ビジネスに参入してテレビCMまで流している。「調子に乗りやがって」と敵意を抱く葬儀業界の人々がいても不思議ではない。

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